研究課題/領域番号 |
25249117
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
黒田 章夫 広島大学, 先端物質科学研究科, 教授 (50205241)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アスベスト / 結合ペプチド / 構造 / 蛍光顕微鏡 |
研究実績の概要 |
本研究では、アスベスト結合ペプチドの立体構造をNMRにより解析し、アスベストとの相互作用を解明することを目的とする。昨年度では、アスベスト結合ペプチド(QREMLIADGIDPNELLNSLAAVKSGTKAKR:31アミノ酸)について、各種のNMR測定(1H-13C HMBC、1H-1H NOESYなど)を行なうことで、各アミノ酸のCα、Cβ、C=O、Hα、NHの化学シフトを帰属した。この化学シフトから、δ2Dプログラム(ケミカルインデックス法を基に開発された二次構造予測ソフトウェア)を用いて2次構造予測を行なったが、明確な二次構造は見られなかった。しかし、NOESYスペクトルを詳細に解析したところ何らかの構造を持っている可能性が示唆された。そこで、本年度では、得られた化学シフトをもとにCYANAを用いて立体構造計算を行なった。NOESYスペクトルから、距離制限にかかわるシグナルを帰属した。これまでに得られた各アミノ酸のCα、Cβ、C=O、Hα、NHの化学シフト、TALOS計算によって得られた角度制限情報、NOESYスペクトルによって得られた距離制限情報をもとに、CYANAにより構造計算を行なった。その結果、アスベスト結合ペプチドの13番目のPro(P)から20番目のLeu(L)の領域にHelix構造がみられ、C末端の領域も一定の構造がみられた。また、アスベストを検出するための携帯型の蛍光顕微鏡の開発を行った。青色LEDを励起光とし、励起フィルター、ダイクロイックミラー、蛍光フィルターを内部に搭載し、カメラに光路を接続してモニターとする携帯型の蛍光顕微鏡を開発した。アスベストが映し出された画像はカメラの通信機能により、離れた分析室でもリアルタイムで観察することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アスベスト結合ペプチドの構造解析は、少し遅れ気味ではあるが、最終年度内に終了できると考えている。一方アスベストを検出する顕微デバイスの作成については、ほぼ終了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、アスベスト結合ペプチドの13C、15N標識体を作製しNMR測定を行うことで、さらに正確な立体構造解析を行う目処がついている。
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