研究課題/領域番号 |
25249125
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
澤井 秀次郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (30270440)
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研究分担者 |
坂井 真一郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10342619)
坂東 信尚 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (10415896)
丸 祐介 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (20524101)
永田 晴紀 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40281787)
後藤 健 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40300701)
小林 弘明 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (50353420)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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キーワード | スペースプレーン / 超音速 / 飛行実験 |
研究実績の概要 |
本研究は,空気吸い込み式エンジンを用いるスペースプレーンの実現に向けて,飛行実証を通して基盤となる技術を獲得することを目指す.そのために,気球による高高度からの落下と無火薬式の小型ロケットブースターによる加速を組み合わせた,従来にない低コストの高速飛行実証手段を構築する.飛行実験システムの検討・試作を行い,最終的に飛行実験を行って実験システムの有効性を実証することを目指す.また,実験システムの試作研究を通して,スペースプレーンの実現に必要な技術の研究を実施する. H27年度は, 1. 高速飛行実験システムの概念検討,2. 飛行実験機の設計検討と試作,3.スペースプレーンの実現に必要な技術の研究,特に空力設計技術の研究,を行った. 1では,H26年度に引き続き,実験機形態の風洞実験を行い,マッハ数をパラメータとする空力特性を取得して,飛行実験軌道検討に反映し,飛行軌道計算の詳細化を図るとともに,動翼による姿勢制御の成立性を検討した.また,気球とのI/F条件の詳細化を進める過程で,到達高度の制約が挙がってきたため,これを考慮した対応策を検討した. 2では,(1)試作を行ってきた実験機構造の機械噛合せを行った.(2)ハードウェア試作をほぼ完了していたアビオニクスにおいて,ソフトウェアの開発を,飛行実験シーケンスの検討結果から導かれる要求に沿って行った.(3)実験機形態の風洞実験により取得した空力特性データを用いて飛行シミュレーションを実施し,制御系の検討を進めた.(4)減速回収系の検討を進めた.その中で,収納容積が実験機の搭載スペースと齟齬を生じたため,設計条件の見直しや収納容積を抑制する工夫を検討し,再設計を行った. 3では,空力設計技術に関して,スペースプレーンの空力形状としてウェーブライダーの特性を利用することを考えており,今年度は,翼端形状の影響を主としてCFDで評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
飛行実験機の開発研究は,減速回収系の再検討の必要性が生じたものの,形状の工夫などを行って対処でき,全体として実験機コンポーネントのハードウェア試作をほぼ完了することができた. 一方で,気球実験の状況の変化もあり,気球I/Fの検討によって到達高度や運用上の制約に従前の想定範囲を超える事項が生じたため,実験システム全体の観点でその対応方策の検討を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
飛行実験機の開発研究を着実に進める.ハードウェアの試作をほぼ完了した実験機に対し,強度試験や温度環境試験の機械的なシステム試験を実施する.また,アビオニクスのソフトウェア開発を進め,電気的なシステム試験を実施できる段階に進める.飛行実験機会の獲得には至っていないものの,飛行実験の準備ができた状態を創出するため,地上でできる実験・試験を重視して,実験機の開発を実証的に進める. 到達高度など気球I/F条件の変化に対して,飛行実験軌道の工夫の観点,および実験条件の絞り込みの観点で対応できるよう,飛行実験システムの検討をより多角的に実施する. 飛行実験機会の獲得のためには,気球I/Fの調整の他,多方面との調整が必要であり,実験機開発と平行して進めていく.また,飛行実験の意義を高めることも必要であり,その意味で,スペースプレーンの実現に必要な要素技術研究も重要であると認識している.対象としては,高速飛行環境で重要な,(1)空力設計技術と(2)ジェットエンジン技術に絞る.(1)では,これまで研究を進めてきているウェーブライダーの特性を利用した空力形状の検討を進める.特に飛行力学の観点との融合的な研究を行って,実験機の飛行ダイナミクス検討にも寄与できる成果を得たい.(2)では,地上実験と飛行実験の連携と差別化を通して,エンジン内部流動の非定常性を評価する.
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