研究課題
1.HOSM造波法の確立: 本研究で提案するHOSM造波法は、あらかじめHOSMにより計算を行い、造波信号を作成する。平成25年度では、i)直進Benjamin-Feir不安定波列の造波と検証、ii)不規則方向波造波と検証(線形造波と非線形造波の違い、方向スペクトル計測)を海上技術安全研究所実海域再現水槽にて行い、HOSM造波法の妥当性を確認した。2.ステレオカメラによる3次元水位計測法の確立:水槽にてステレオカメラによる計測を行うために、i)水面の可視化:浮体マーカーを格子状に並べるマーカーネット法の考案、ii)3次元ステレオ解析プログラムの準備、を行った3.海難事故時の波浪場の推算:日本近海の海難事故に着目し、事故発生後に現場での波浪場を再現するリロケータブル波浪推算モデルの構築に着手した。4.観測データの分析と整理:科学研究費補助金若手S(終了)にて、外洋における波浪観測を行ってきた。2009年9月から12月の間では、有義波高6m超の時に、最大波高13mのフリーク波を観測したが、一つのケースは方向スペクトルが狭く、もう一つのケースでは方向スペクトルが広かった。これら観測時のスペクトルから、HOSMによるモンテカルロシミュレーションにより波形を再現し、HOSM造波を行った。5.危険波に対する船体応答と波浪荷重の計測:弾性模型を新たに設計・製造し、実海域再現水槽で発生させた波浪中における模型実験を実施した。船舶の動揺ならびに波浪荷重の計測実験を実施した。
2: おおむね順調に進展している
1.HOSM造波法の確立:海上技術安全研究所実海域再現水槽で海難事故時もしくはフリーク波観測時の波浪場を再現することが最終ゴールであるが、初年度に観測時の波浪場の再現を、1ケースについて実行することが出来た。ただし、詳細な形状の計測などは出来ていず、また、水槽建屋が平成26年2月の大雪で崩壊したため、その後の実験が出来ていない。2.ステレオカメラによる3次元水位計測法の確立:水面の可視化が大きな課題であったが、多数の浮体マーカーを用いることで解決できることが判った。一方で、ステレオカメラの構成の決定に時間がかかり、研究計画変更(繰り越し)の理由となった。3.海難事故時の波浪場の推算:おおむね順調である。4.観測データの分析と整理:過去のデータについては、時系列及び統計値について整理を行った。HOSMを用いた解析では、特に波形の違いについて詳細に検討し、フリーク波の3次元構造など新たな観点での解析が進んだ。5.危険波に対する船体応答と波浪荷重の計測:当初の予定通り、弾性模型を新たに設計・製造した。実海域再現水槽で発生させた波浪中における模型実験を実施したが、水槽建屋の崩壊のため、平成26年度での実験再開の見込みは無い。
1.HOSM造波法の確立:水槽建屋が平成26年2月の大雪で崩壊したため、代替案として、海上技術安全研究所の動揺水槽、東京大学生産技術研究所の海洋工学水槽を用いた実験を平成26年度には実施する。2.ステレオカメラによる3次元水位計測法の確立:水槽実験ではマーカーによる可視化が可能であるため、引き続きマーカーを用いた可視化実験を、海上技術安全研究所の動揺水槽、東京大学生産技術研究所の海洋工学水槽にて実施する。3.海難事故時の波浪場の推算:リロケータブル波浪モデルおよびHOSMによる波形再現のモデル開発を継続する。4.観測データの分析と整理:特に変更なし。5.危険波に対する船体応答と波浪荷重の計測:平成25年度に制作した弾性模型を用いた実験は、海上技術安全研究所実海域再現水槽建屋の修復後に実施する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件)
Ocean Dynamics
巻: 9 ページ: 1-12
10.1007/s10236-014-0751-4
Natural Hazards and Earth System Science
巻: 14 ページ: 945-957
10.5194/nhess-14-945-2014