研究分担者 |
小林 貴之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部, 研究員(定常) (10465974)
假家 強 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30451678)
小田 靖久 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部, 研究員(定常) (60512209)
高橋 幸司 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部, 上席研究員(定常) (70354644)
南 龍太郎 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70370476)
今井 剛 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (80354637)
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研究実績の概要 |
テラヘルツジャイロトロンの発進特性の研究を進めた。前年度までの研究で、周波数300GHz(0.3テラヘルツ)で、目的のTE32,18モードにおいて目的である出力500kWの発振を実証した。その一方、TE32,18モードは観測されたものの、より広いパラメータ範囲で競合モードであるTE30,19モードも観測され、むしろ競合モードの方が発振領域が広いという想定外の結果も得られた。この原因として、出力窓は、TE32,18(300GHz)が反射率0%となるよう設計されている一方、TE30,19モードは窓で23%のRF電力が反射されるため、共振器と窓の間でRFが閉じ込められた結果、共振器におけるQ値が上昇し、より強い電子ビームとTE30,19モードの相互作用が生じ、広い範囲でTE30,19モードが優勢となり、TE32,12モードの発振が抑制されたものと考えた。 これまで出力窓はジャイロトロン軸に対して垂直に設置され、出力窓で反射される場合、同じモードで反射される。その結果、共振器と窓との間で多重反射が生じ、Q値の上昇が起こったものと考えられる。これを防ぐため、ジャイロトロンの出力窓の傾きを調整できる改造を行った。出力窓からの反射波を多くのモードの合成波とすることで、Q値の上昇を防ぐ効果が期待できる。H29年度はその改造ジャイロトロンを用いて窓の傾きを新しいパラメータとして発振特性実験を行った。ジャイロトロンの電子ビーム電圧とビーム電流を固定し、発振部の磁場(サイクロトロン周波数に対応)とビーム位置をパラメータとしてその発振依存性を調べた。出力窓の傾きを1.15度傾けたところ、これまでTE32,18モードの発振が得られなかった領域でもTE32,18モードが得られるようになり、発振効率は約21%で、目標の500kWを上回る最大620kWの出力が達成された。
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