研究課題/領域番号 |
25249137
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上坂 充 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30232739)
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研究分担者 |
井頭 政之 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (10114852)
堀 順一 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30362411)
古坂 道弘 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60156966)
藤原 健 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90552175)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小型電子ライナック中性子源 / 短パルス中性子源 / Xバンド電子ライナック / 廃炉 / 核データ / Ce:LiCAF / 福島燃料デブリ分析 / 加速器駆動システム |
研究実績の概要 |
東大原子力専攻所有のXバンド30MeV電子ライナックの入射系として、20 keV熱電子銃と定電界型バンチャーを組み合わせたシステムと100 keV熱電子銃を直接加速管に入射するシステムを検討した。100 keV電子銃を用いた場、5%ほどビーム通過率が優れていることが明らかになった。電子銃でのピーク電流値を500 mAとした場合、加速管直後において最大ビームエネルギー35 MeV、ビーム電流160 mA(最大エネルギーの80%以上)が計算で得られた。パルス幅1 μs、繰り返し50 ppsとした場合、300 W程度の出力が期待される。 中性子発生用ターゲットの製作に向けたシミュレーションをPHITSコードを用いて行い、ターゲットの材質としてはWがTaやPbよりも中性子強度においては20%ほど優れていることが分かった。ターゲット・減速材システム設計を最適化した。 小型加速器中性子源の強度の限界を補うべく、高収率大面積固定Ce:LiCAFシンチレータ検出システムの開発を行った。波長シフターPPO及びPOPOPにより発生する光の波長を長くすることで出力信号を大きくする実験を試みた。発生する光の波長を約300 nmから約400 nm程度にまで長くすることで、出力信号を約2.5倍程度に向上させ、γ線との弁別能を改善できることが分かった。 また、改良したCe:LiCAFの性能実験を目的に、京大炉ライナックにおいてNp-237の全断面積測定実験を行った。改良したCe:LiCAFはγ線ノイズは中性子信号の3桁ほど小さい結果となり、数eV以下の領域でNp-237の共鳴エネルギーを精度よく測定することができた。 北大では、将来の可搬型大強度3.95MeVXバンド電子ライナック中性子源のためのBe, BeD2ターゲットの検討を行った。 東工大では中性子のよる核医学用RI製造の展開・keV領域の核物質の核データ測定の情勢調査を継続して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
30MeVXバンドライナック中性子源の改良につき、設計がほぼ完了して、電子銃と電源の製作の目処が立った(達成度80%)。中性子発生ターゲットと減速材は設計がほぼ完了して、これから製作である(達成度70%)。γ線識別中性子検出システムはCe:LiCAFシンチレータシステムの製作・改良・実証に成功した(達成度100%)。
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今後の研究の推進方策 |
30MeVXバンドライナック中性子源へ、電子銃と電源の製作と組み込みと電子加速を実証する。中性子発生ターゲットと減速材は中性子の強度とエネルギースペクトルを実測し、達成度を評価する。γ線識別中性子検出Ce:LiCAFシンチレータシステムは京大ライナックTOFシステム、ベルギーGELINAライナックTOFシステム、東大新システムを使った核物質のkeV中性子領域の核データを取得する。
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