リチウムイオン電池は大型エネルギー貯蔵媒体として持続可能な社会の実現に向けて活発に研究開発が進められている。入出力特性のさらなる向上が不可欠であり、高速に反応が進行しうる電池材料設計・探索が研究機関の責務となる。動的な電気化学反応進行下ではイオンや電子が絶えず移動し、電極活物質の電子構造や結晶構造が連続的に変化する。系は非平衡状態にあり、非平衡時の構造変化に関する現象解明が必要である。二相系電極材料の格子体積変化を抑制すると、熱力学的には不安定だが速度論的には安定な別の反応経路を経由し高速充放電特性が向上することを、実際の電池作動下における時間分解X線回折法の適用により明らかにした。
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