研究実績の概要 |
昨年度の研究を発展させ、ウィスカ毛根周囲の機械受容ニューロン軸索端にチャネルロドプシン2(ChR2)を発現するトランスジェニックラット(W-TChR2V4)のそれぞれのウィスカ毛根と青色LED光源をファイバーに結合させた。大脳皮質バレル野からユニット記録しながら、それぞれのウィスカ毛根に光を順次照射したところ、それぞれのユニットは、特徴的な応答パターンで複数のウィスカに応答した。すなわち、バレル野のニューロンには、複数のウィスカの組合せに応答するものがあることが示唆された(Liu et al., 第39回日本神経科学大会, 2016; 劉越人ら, 先端モデル動物支援プラットフォーム平成28年度成果発表会, 2017)。ラットの触覚パターン認識の神経回路機構を研究する目的で、W-TChR2V4ラットのウィスカ光刺激と報酬を関連付ける条件付け実験システムを構築し、ウィスカ光刺激直後5秒以内にリッキングすると報酬を得るGoタスクと、5秒間リッキングを抑制すると報酬を得るNo-goタスクを課した。ラットは、Go, No-goのパラダイムシフトをすみやかに学習した(Abe & Yawo, 第39回日本神経科学大会, 2016)。微小プリズムを用いた2光子in vivoカルシウムイメージングを光操作技術と組み合わせ、大脳皮質横断的にパターン照射するシステムを最適化した。ウイルスベクターを用いて、マウス大脳皮質一次知覚野第Ⅴ層ニューロンにチャネルロドプシンとカルシウムセンサーR-CaMP2を発現させ、時空間パターン光刺激することにより、第Ⅴ層における入出力特性を解析した(Koizumi et al., 第39回日本神経科学大会, 2016他)。これにより、5層メゾスコピック回路における入出力の機能構築を解明した。
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