研究課題/領域番号 |
25250006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金子 武嗣 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90177519)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳・神経 / 神経解剖学 / 運動皮質 / 神経回路 / 双対システム |
研究概要 |
運動系皮質の神経回路とその作動原理を解明するべく、感覚系皮質の神経回路との対比を念頭に置きながら、下記の研究を行った。 1) 皮質視床投射ニューロンの軸索投射:Juxtacellular labeling 法を用いて、体性感覚野6層皮質視床ニューロンの軸索解析を進め、論文投稿の準備を進めている。同様の手法を用い、運動皮質の6層ニューロンの解析準備を行っている。 2) 抑制性インターニューロンへの興奮性および抑制性入力:PV発現細胞への各種シナプス入力様式については、運動野での解析が進んでいる。VIP発現細胞については、感覚野での解析が終わりつつある段階であり、運動野での検討を行いたい。SOM発現細胞については、解析法を含めた予備実験を進めている。 3-1)視床大脳皮質投射ニューロンから皮質ニューロンへ、3-2)あるいは皮質ニューロンから皮質ニューロンへの入力の回路網解析:ウイルスベクターによるsingle neuron tracing の手法等と遺伝子改変動物を組み合わせて「From one to group」に、回路解析を行う。スライス標本にて実験を進め、基本データを得ることができた。 4) 実現可能な神経動作の理論を構築:これまでに得られた形態学的知見を元に、理論構築を進めている。特に同期性についての解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) 感覚野での解析は予定通り進んだ。同様の解析手法を、いかに運動野に適用するかについて、引き続き検討を行っている。 2) 抑制性インターニューロンへのシナプス入力解析は、予定通り進んでいる。 3) 3-2) については基本データの取得が終わったので、今後は解析法等を検討し、論文投稿を目指す。3-1) については、条件検討実験を進めているところである。 4) 連携研究者との密な議論を通し、抑制性神経細胞の結合特性を盛り込んだネットワーク解析に取り組むことができた。今後も引き続き理論構築に励む。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、研究計画を概ね順調に遂行できたが、以下の点に注意しながら計画を推進していく。 1) 単に運動野6層ニューロンの標識に留まらず、生理学的解析との対応を図る必要がある。慎重に予備実験を進める必要があると思われる。 2) SOM発現細胞の本解析に着手することができなかった。幾つかの技術的問題もあり、早期解決を図りたい。 3) 現在はウイルスベクターによる検討実験を進めているが、作業効率の向上に取り組む必要がある。検討実験を進めながらも、他のアプローチが無いか、その可能性を探る必要があると思われる。 4) 昨年度に続き、定期的にディスカッション・情報交換の場を設け、計画を円滑に進める予定である。
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