研究課題/領域番号 |
25251005
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
荒木 弘之 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (20151160)
|
研究分担者 |
日詰 光治 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助教 (10378846)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | DNA複製 / 酵母 / 染色体 / クロマチン / 複製開始 |
研究概要 |
真核生物の染色体DNA複製では、複製に関与する多数のタンパク質が複製開始領域に集合しDNA合成が開始するが、その詳細な機構については分かっていない。今期は以下の項目について研究を進めた。 1.出芽酵母細胞抽出液を用いたin vitro DNA複製系は、i) G1期細胞抽出液によるpre-Replicative complex (pre-RC)の形成、ii) DDKキナーゼによるpre-RCのリン酸化、iii) S期細胞抽出液によるDNA合成の開始の3つのステップからなる。この系では鋳型DNAをビーズに固定し、i)からii)への移行時にG1期抽出液を除く必要があり、複製効率も低い。そこでi)のステップを精製タンパク質で行い、非固定型の鋳型DNAを用いて、複製の効率化を行った。一方iii)のステップからDNAポリメラーゼε(Polε)を除き、精製したPolεを加えると、複製の減少と回復がおこる。そこに、DNAポリメラーゼ活性ドメインを欠いたPolεを加えると、複製は部分的に回復する。これは、Polεがポリメラーゼ活性以外の機能として複製開始に関与することを直接示すものである。同様の解析をSld3-Sld7, Mcm10タンパク質でも行い、精製標品がin vitro複製の活性を持つことが分かった。さらに、Sld3中央部の構造決定にも成功した。 2.精製ヒストンよりヌクレオソームを再構成したところ、pre-RCの形成及びin vitro複製系において、裸のDNA同様に鋳型となることが分かった。 3.複製開始に関与するDpb11は、CDKキナーゼによりリン酸化されたSld2とSld3がそれぞれN末、C末半分に結合する。同様にチェックポイントに関与するRad9もN末側に結合する。各タンパク質を精製しそれぞれの結合を調べたところ、Sld2がDpb11のC末側に結合するとRad9がN末側に結合しにくくなり、結果としてSld3がN末に結合し易くなることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitro複製系の効率化が進み、精製タンパク質の活性もわかり、本格的に解析が進める状態になったため。
|
今後の研究の推進方策 |
in vitro複製系を中心とした解析を今後も続ける。チェックポイントタンパク質との関連については、in vitroで得られた結果に対応するin vivoの結果が現時点では得られず、解析手法を再考する余地がある。
|