研究課題
本研究課題では、小胞体ストレスセンサーから発信される様々なシグナル経路の解析を行い、生命現象の中での小胞体ストレス応答の重要性を分子レベルで解き明かすことと、この系の破綻によって生じる慢性炎症性疾患などの疾患発症の分子機序解明を目指している。今年度は以下のことを明らかにした。1)小胞体ストレスセンサーLumanは破骨細胞の分化の過程において転写レベルで誘導され、その機能欠損は破骨細胞の多核化を障害し骨吸収能を低下させる。Lumanの結合因子としてDC-STAMPを同定し、両者が小胞体およびゴルジ膜上で結合すること、ならびにお互いが小胞体からゴルジ装置への移動を制御し合っていることを明らかにした。2)小胞体ストレスセンサーOASISがhypoxia inducible factor 1a (HIF1a)と結合し、hypoxia responsive element(HRE)に作用してHIF1aターゲット遺伝子の転写を促進していることを明らかにした。また両者により転写誘導を受けるVEGF-Aが骨形成期に血管の新生を促進することで骨の形成・成長を制御していることも証明した。3)褐色脂肪細胞がβアドレナリンなどの刺激を受け活性化する際に、小胞体ストレス応答経路のひとつであるIRE1-XBP1経路が特異的に活性化し、UCP1遺伝子の転写を促進して熱産生を制御する仕組みを解明した。4)膠芽腫癌患者で小胞体ストレスセンサーBBF2H7が活性化することを突き止めた。BBF2H7の小胞体内腔ドメインは細胞外に分泌されて癌細胞のヘッジホッグシグナルを活性化することで細胞増殖を促進していることも明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.hiroshima-u.ac.jp/top/koho_press/press/h2701-12/p_yi1ol3.html