研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は、次世代型の新しい1分子計測技術を開発することであり、以下の3つの手法を開発する。①金属ナノ粒子を利用した表面増強ラマンを用いた「酵素に結合したヌクレオチドの化学状態1分子計測技術」②supported membrane 法もしくは平面膜法を用いた「膜ポテンシャル駆動の膜タンパク質1分子計測技術」③平面膜チャンバーアレイを用いた「イオン能動輸送活性1分子計測技術」の確立である。「酵素に結合したヌクレオチドの化学状態1分子計測技術」昨年度は顕微鏡システムの開発を中心に行った。結果、金属ナノ粒子の暗視野観察と表面増強ラマンスペクトルを同時に取得できる顕微鏡の作成に成功した。この顕微鏡を用いて、アデニン分子を計測したところ、非常に再現性良くアデニン環の呼吸振動に対応するピークを確認できた。「膜ポテンシャル駆動の膜タンパク質1分子計測技術」本項目は、交付申請にある実施計画通りに進展し国際的にも評価の高い雑誌に論文として発表を行うことができた。(Waranabe R. et al. Nature communications)「イオン能動輸送活性1分子計測技術」本項目も順調に進めることができた。具体的には、平面膜チャンバーアレイにFoF1-ATP合成酵素を再構成し、1分子の酵素が輸送するH+濃度変化を検出することに成功した。本結果も、論文として投稿準備中である。
1: 当初の計画以上に進展している
項目②と③に関しては、当初計画をほぼ達成できている。特に、項目②に関しては国際的にも評価の高い雑誌に掲載され、非常に注目度も高い。また、項目①に関しても計画通り順調に進めている。3つの項目のうち2つが計画半ばでほぼ達成されたため、計画以上に進展しているとする。
項目①に関しては今後も計画通り進めていき、タンパク質内部の基質のラマンスペクトル取得を目指す。項目②と③に関しては、当初計画よりさらに発展させ、研究を実施する。具体的には、膜電位を制御できる系を開発し平面膜チャンバーアレイと組み合わせることでATP駆動のみならず膜電位によって駆動されるタンパク質の計測を目指す。また、Ca2+等のイオン輸送タンパク質に関しても1分子レベルでイオン輸送能の計測を試みる。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 9件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
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