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2013 年度 実績報告書

モルフォゲンの分布とシグナル受容におけるヘパラン硫酸ナノ構造の役割

研究課題

研究課題/領域番号 25251026
研究機関東京大学

研究代表者

平良 眞規  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60150083)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワードモルフォゲン / シグナル伝達 / ヘパラン硫酸 / 細胞外基質 / Wntリガンド
研究実績の概要

アフリカツメガエル胚の細胞間隙には、ヘパラン硫酸(HS)に対する免疫染色で同定される2種類のドット状の微小構造体、N-acetylとN-sulfoのHS nanostructure (HSNS)が存在する。N-sulfo HSNSはWntモルフォゲンと共局在し、N-acetyl HSNSはWnt結合蛋白質sFRPと共局在する。そこでHSNSの実体を明らかにするための解析を行い、以下の結果を得た。
細胞膜上の脂質ラフトを破壊するMβCD(methyl-β-cyclodextrin)で胚を処理すると、両HSNSとも消失した。細胞内に存在するN-sulfo HSの多くはエンドソームマーカーFlotillinと共局在し、一部は脂質ラフトからのエンドソーム形成に関わるCaveolinと共局在した。次にエンドサイトーシスとリサイクリングに関わるRab5とCdc42の優性阻害コンストラクト発現させたところ、細胞膜上および細胞内のN-sulfo HSNSとN-acetyl HSNSは共に大きく減少した。以上より、N-sulfo HSNSとN-acetyl HSNSは脂質ラフトに存在し、Rab5とCdc42依存的エンドサイトーシスとリサイクリングを受けること、またN-sulfo HSNSの一部はCaveolin経路で取り込まれることが示唆された。
WntとsFRPが結合するヘパラン硫酸(HS)のコア蛋白質の同定に関して、(1)免疫沈降・質量分析法と、(2)候補探索法、の両面から検討した。(1)については抗体カラムの作成の条件検討を抗Myc抗体を用いて行い、使用するビーズを決定した。(2)については膜結合型とGPIアンカー型を区別するためにPI-PLC酵素処理を行った結果、HSNSのコアタンパク質はGPIアンカー型であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

PI-PLC酵素処理実験から、ヘパラン硫酸(HS)のコア蛋白質がGPIアンカー型であること、すなわちglypicanである可能性が高まったことから、この解析を優先させることにした。そのため、抗体カラムを用いたHSNS複合体の免疫沈降と質量解析の進行に遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

1)免疫沈降‐質量分析:1-1)原腸胚の細胞膜画分を界面活性剤で可溶化し、抗N-acetyl HS抗体あるいは抗N-sulfo HS抗体で免疫沈降する。カエル胚は多量の卵黄顆粒もち夾雑物が多く質量分析がうまく行かない可能性がある。その場合は培養細胞のHeLa細胞を用いる。免疫沈降したものをSDS-PAGEと銀染色で特異バンドを検出し、定法に従い質量分析を行う。1-2)同定された蛋白質で、抗N-acetyl HS抗体と抗N-sulfo HS抗体で共通なもの、あるいは特異的なものを選んでモルフォリノ・アンチセンスオリゴ(MO)でノックダウンしてHSNSが消失するか否かを検討する。また免疫染色によりHSNSとの共局在を確認する。
2)コア蛋白質の解析:コア蛋白質候補としてglypican (gpc)が予想されたので、初期胚に発現するgpc4とgpc3、gpc5がN-sulfo HSNSとN-acetyl HSNSの形成にどのように関与するかを検討するため、ノックダウン実験と過剰発現実験を行う。
3)WntとsFRP以外の分泌蛋白質についての検討: N-sulfo HSNSあるいはN-acetyl HSNSと分泌蛋白質との共局在の特異性を検討するため、Wnt以外のリガンドとしてBMP4、Nodal、Shh、FGFを、分泌性阻害蛋白質としてCerberus、Dkk1、Chordin、Nogginについて検討する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] YAP and TAZ, Hippo signaling targets, act as a rheostat for nuclear SHP2 function.2013

    • 著者名/発表者名
      Tsutsumi, R., Masoudi, M., Takahashi, A., Fujii, Y., Hayashi, T., Kikuchi, I., Satou, Y., Taira, M., and Hatakeyama, M.
    • 雑誌名

      Dev. Cell

      巻: 26 ページ: 658-665

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.devcel.2013.08.013

    • 査読あり
  • [学会発表] Heparan sulfate nanostructures regulate extracellular distribution of Wnt and sFRP2014

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Mii, Kenichi Nakazato, Chan-Gi Pack, Yasushi Sako, Atsushi Mochizuki, Shinji Takada, and Masanori Taira
    • 学会等名
      International Mini Symposium, “Eco-Dev-Evo”
    • 発表場所
      京都大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-02-21 – 2014-02-21
    • 招待講演
  • [学会発表] Roles of the zinc finger protein Zbtb11 and phosphorylation modification in the regulation of Otx2 activity in early Xenopus eye development2014

    • 著者名/発表者名
      Yumeko Satou, Erina Hosono, Kohei Minami, Yuuri Yasuoka, Takashi Shibano, Hiroshi Mamada, Shuji Takahashi, Makoto Asashima and Masanori Taira
    • 学会等名
      Keystone Symposium on transcription regulation
    • 発表場所
      Santa Fe(米国)
    • 年月日
      2014-02-04 – 2014-02-09
  • [学会発表] ChIP-Seq analysis of Transcription factor Siamois for mechanisms of head organizer formation2013

    • 著者名/発表者名
      Yuki Honda, Yoshiaki Kirigaya, Yuuri Yasuoka, Saya Imai, Yutaka Suzuki, Shuji Takahashi, Makoto Asashima, Sumio Sugano, Masanori Taira
    • 学会等名
      第36回分子生物学会年会
    • 発表場所
      兵庫県神戸市
    • 年月日
      2013-12-03 – 2013-12-06
  • [学会発表] Xenopusの眼の初期形成に関わるOtx2のリン酸化修飾と活性調節におけるZnフィンガー蛋白質Zbtb11の役割2013

    • 著者名/発表者名
      Yumeko Satou, Erina Hosono, Kohei Minami, Takashi Shibano, Hiroshi Mamada, Shuji Takahashi, Makoto Asashima, Masanori Taira
    • 学会等名
      日本発生生物学会第46回大会
    • 発表場所
      島根県松江市
    • 年月日
      2013-05-28 – 2013-05-31

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公開日: 2016-06-01  

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