研究課題
1)将来の頭尾の方向性を決める細胞(DVE)が決まる機構:着床全胚でLefty1を発現する細胞が、将来DVEになることは、すでに知られている。本年度は、着床全胚で発現するLefty1の役割を検証した。Lefty1 (あるいはLefty1 とLefty2)を欠損すると,将来にDVEになるべき細胞が増加することが判った。Lefty1の発現は、Nodalによって誘導されていることより,Nodal-Leftyの遺伝子ネットワークにより、Lefty1を発現する細胞の数が制限されていることが判った。2)Nodal シグナルの母性因子としての役割:卵細胞でNodalシグナル(Nodal, Smad2, FoxH1)を欠損したとき、受精後の胚で細胞分裂や染色体分配に異常が生じることを見出した。前年度のスクリーニングで、FoxH1を欠く卵細胞で発現が減少していた遺伝子(約10)のうちの2つについて、FoxH1結合配列を欠損させると、卵細胞での発現が低下することが判った。これにより、これらの遺伝子は、Nodal-Foxh1により直接制御されている遺伝子であることが示唆された。3)着床全胚におけるZygoticなLefty1, Lefty2の役割:Lefty1, 2を欠損する胚を受精後5.5日で調べたところ、一部の胚でOct3/4の発現が低下していた。4)4~8細胞期における細胞分化:4~8細胞期の一部の細胞で活性を示すLefty1のエンハンサー(8Ce)について。8Ceが活性を持つ細胞の系譜を調べたところ、数少ないサンプルであるが、ほとんどの場合胚体外組織へと寄与していた。8CeにVenusをつなげたtransgeneを用いて、このエンハンサーが活性化される様子を、経時観察した。その結果,まず最初には4~8細胞期の1つの細胞で活性化されることが判った。
2: おおむね順調に進展している
1)将来の頭尾の方向性を決める細胞(DVE)が決まる機構は、順調に進んだ。2)Nodal シグナルの母性因子としての役割:in silicoとin vivoのスクリーニングで選んだ遺伝子が、予想通りNodal-FoxH1で直背いつ制御される遺伝子であることが判り,研究の進め方が妥当であったことが判った点は、大きな進歩であった。Nodal シグナルの母性因子としての役割も、さらに深く理解することができた。3)着床全胚におけるZygoticなLefty1, Lefty2の役割:大きな進展がなかった。4~8細胞期における細胞分化:8Ceが活性を持つ一部の細胞が、特定の細胞へと寄与することが判り,この現象が大きな意味を持つことが確認されたのは、重要であった。
1)将来の頭尾の方向性を決める細胞(DVE)が決まる機構:着床全胚において、Lefty1陽性細胞はランダムに選ばれる、あるいは決定的に選ばれるのかを、明らかにしたい。2)Nodal シグナルの母性因子としての役割:スクリーニングで選んだNodal-Foxh1の標的遺伝子(約10)の機能を調べる必要がある。それぞれについて、卵細胞特異的な変異マウスを作成して,NodalやFoxh1と同様な異常が出現するかどうかを、調べる。3)着床全胚におけるZygoticなLefty1, Lefty2の役割:機能する時期と細胞を特定する。4~8細胞期における細胞分化:8Ceが活性を持つ一部の細胞が、特定の細胞へと寄与することを、サンプルを増やして確認する。と同時に、8Ceの配列を細分化して、エンハンサー活性に必要な配列を特定したい。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/hamada/