研究課題
生殖細胞時期特異的網羅的遺伝子発現解析; 幹細胞型生殖細胞とシスト分裂生殖細胞をFACSを用いて別々に単離し、次世代型シークエンサーによって遺伝子発現網羅的解析を行いつつある。減数分裂に入る前の体細胞分裂を続ける両者では遺伝子発現が異なることを確認し、そこで働くシグナルをパスウェイ解析で確認しつつある。また減数分裂初期の遺伝子プロファイルも現在獲得しつつある。培養系の改良 - 生殖細胞動態・分化解析: 卵巣、精巣の組織を解離して行う初代培養の改良を進め、トランスフォーミング増殖因子-β (TGF-β) 系情報伝達因子の阻害剤に精原幹細胞の分化を阻害する効果があることを見いだした。これに加えて培養液組成を再検討し、これまでの1ヶ月程度から2ヶ月以上精原幹細胞を培養できる条件を確立した。さらに、この精原幹細胞への遺伝子導入法を検討して、10%以上の効率で導入できる条件を見出した。これらにより、シスト分裂から減数分裂に移行する過程の分子動態や制御因子をin vitroで詳細に解析できる系を確立した。シスト分裂の新たな制御因子の同定: 精原幹細胞と初期のシスト分裂細胞のみの精巣を持つ変異体で、原因遺伝子を同定できている1系統に対して生化学的な解析を進め、そのタンパクが生殖顆粒構成要素と複合体を形成すること、変異体精巣においてpiRNA産生に大きな異常がないことを見つけた。体細胞でのシグナル; 生殖細胞を直接取り囲む支持細胞を可視化できる AMH 遺伝子トランスジェニック系統の確立を現在行いつつある。また体細胞で発現する sox9b 遺伝子で可視化した細胞からのプロファイルも得つつある。
2: おおむね順調に進展している
シスト分裂の制御因子の同定で、変異体原因遺伝子を同定できていない系統があるが、培養系の改良は進み、細胞系列ごとの遺伝子プロファイルも順調に得られているため。
幹細胞型生殖細胞とシスト分裂生殖細胞で差異の見えてきた遺伝子の発現をin situ hybridization 等で確認し、発現差のある遺伝子の変異体作製を行う。この系統での生殖細胞性差を確認し減数分裂や幹細胞のマーカーを用いて、初期の配偶子形成過程の制御過程とこの因子との関わりを明らかにしていく。培養系の改良 - 生殖細胞動態・分化解析: 平成25年度に、卵巣、精巣細胞の初代培養で、生殖幹細胞を長期間維持し、その過程で外来遺伝子を導入する系を確立できたため、幹細胞から減数分裂までの培養系の可能性がみえてきた。そこで、生殖幹細胞からシスト分裂、減数分裂の過程を再現する培養系の確立を進め、生殖細胞の様態変化をシャーレの中で直接観察し、幹細胞様生殖細胞の維持とシスト分裂と減数分裂への移行を解析する。また、シスト分裂特異的因子のプロファイルを進め、そのタンパクを蛍光標識し、シスト分裂過程での動態をライブイメージングする。シスト分裂の新たな制御因子の同定: 引き続き、精原幹細胞と初期のシスト分裂細胞のみの精巣を持つ変異体と減数分裂開始に異常を持つ変異体の原因遺伝子同定を進めるとともに、これらの生殖細胞を用いてシスト分裂特異的因子をプロファイルする。その因子の変異体を入手し、それらのシスト分裂における機能をin vivoとin vitroの両方から解析する。
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