細胞内共生による葉緑体の成立に必須であった、宿主真核細胞と葉緑体の分裂同調化機構を明らかにすることを目的として、種々の真核藻類を用いた解析を行った。その結果、(1)一次共生及び二次共生起源の葉緑体の分裂は宿主細胞周期により、核コード葉緑体分裂遺伝子の発現レベルでS期に限定されること、(2)葉緑体分裂面の収縮開始が宿主細胞の細胞周期進行に必須であること、(3)細胞の安全な複製のために宿主真核細胞の細胞周期進行は、酸化ストレスを生じる光合成の起こらない夜間に限定されることがわかった。つまり、宿主真核細胞・葉緑体の協調増殖は、双方が制約を掛け合うことで成立していることが明らかとなった。
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