研究課題/領域番号 |
25251046
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安河内 朗 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (20136568)
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研究分担者 |
樋口 重和 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (00292376)
太田 博樹 北里大学, 医学部, 准教授 (40401228)
工藤 奨 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70306926)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生理的多型性 / 環境適応 / 光環境 / サーカディアンリズム / クロノタイプ / メラトニン分泌 / 時計遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究では1) 生理的多型が遺伝的基盤を介して行動にも影響しているのか、あるいは2) 生理的多型と行動的類型の関係は遺伝的要因とは独立しているのか、を明らかにすることを目的とする。またこれらと併せて生理的多型性が遺伝的適応に基づくのか可塑的な適応なのかも同時に検討する。本研究では特に光環境に焦点をあて、遺伝要因として時計遺伝子群、特にperiod2遺伝子とその発現領域に、行動としてクロノタイプに、生理的多型性の対象として光の非視覚的生理機能のうちメラトニン分泌増加開始時刻(DLMO)からみた概日リズム位相にそれぞれ注目し、これらについて種々の類型をもつ行動や生理機能に対する遺伝要因の関係性を明らかにするとともに遺伝的適応性や生理的な可塑的適応性について検討する。25年度は被験者個人のDLMOを基準に設定した朝の光刺激を実施し、26年度は被験者個人のDLMOを基準に設定した夜の光刺激を実施した。朝と夜のそれぞれの光刺激のタイミングに対する概日リズム位相の移動の程度、内因性のリズム周期、朝型・夜型アンケートスコアなどの測定値を求めると同時に測定項目間の関係をみた。27年度は、朝型・夜型アンケートスコアが示す行動類型のうち、明らかな夜型を示す被験者数が少ないこと、また全体としても各測定諸指標と時計遺伝子多型との関係をみるには被験者数が不足することから、14名の被験者を追加して夜の光刺激の実験を実施した。これまでの3年間の測定資料から、内因性のリズム周期が大きい被験者ほど夜型の傾向があり、また朝の光曝露によるリズム位相の前進の程度も大きかった。夜の光によるメラトニン分泌抑制は夜型の被験者ほど大きかった。また内因性のリズム周期が大きい被験者ほど夜の光曝露によるリズム位相の後退は小さかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は実験前に各被験者の概日リズムを安定させるために1週間の調整期間が必要であり、本実験も1回の実験に3泊4日を要することから多くの被験者を実施することが困難である。また朝型から夜型までの被験者を均等に収集することも困難であった。しかし3年間を通して、49名分のデータを収集することができ、クロノタイプのバランスも含めて何とか条件を満たすところまできたので、おおむね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、行動と生理の各測定項目とゲノム解析との関係を精査していく。またそれらの関係から遺伝的適応性の評価をするために、できればもう少し被験者を追加して実験を実施する。なお、被験者の追加には過去の被験者と併せて朝型・夜型のクロノタイプの偏りがないよう配慮する。
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