研究課題
減数分裂組み換えは、生物の遺伝的多様性の創出を担う生命現象の一つであり、そのメカニズムの解明は育種効率の向上につながる重要課題である。本課題では、イネの減数分裂進行に重要な蛋白質の機能解析を目的とする。(1)イネMEL1はsmall RNA(sRNA)と結合するアルゴノート蛋白質である。MEL1は減数分裂以前の雌雄生殖細胞で特異的に発現するため、その分子機能の解析はsRNAを介したエピジェネティックな減数分裂制御機構の解明につながる。イネでは、減数第一分裂前期にヒストンH3の9番目リシンのジメチル化(H3K9me2)が染色体の広範囲で上昇し(LMR)、第一後期に急速に減衰することを明らかにした。LMRおよび減数分裂組み換えはMEL1機能に依存していた。次に、免疫沈降実験(IP)と質量分析により、MEL1と結合する可能性のある約30の蛋白質を同定した。酵母two-hybrid法で再確認したところ、動原体特異的ヒストンH3(CenH3)、H1、Replication factor C (RFC)の3種類でMEL1結合が陽性であった。いずれもMEL1の核機能を示唆する。MEL1核機能は、組み換えなど減数分裂特有のイベントに向けてH3K9me2化などを伴う大規模なクロマチン修飾変化に必要であると推察された。(2)生殖細胞を包む葯のタペート細胞で発現する転写因子TTMは、減数分裂特異的24塩基長sRNAの合成を活性化する。今年度は、MEL1-IP画分にEAT1依存的sRNAが含まれることを見出した。MEL1とEAT1の発現部位は、隣接するが重複しないことから、EAT1依存的sRNAが細胞間を移動してMEL1と結合し、減数分裂進行の制御に関与する可能性が考えられた。植物生殖器官においてsRNAが細胞間信号伝達として働く可能性を示す本成果の新規性は高く、現在論文を投稿中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Journal of cell science
巻: 129 ページ: 3553-3561
10.1242/jcs.184937
https://www.nig.ac.jp/labs/ExpFarm/top_j.html