研究課題/領域番号 |
25252007
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
平沢 正 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30015119)
|
研究分担者 |
山口 琢也 富山県農林水産総合技術センター(農業研究所、森林研究所及び木材研究所), その他部局等, 研究員 (40538170)
金勝 一樹 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60177508)
大川 泰一郎 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80213643)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 作物学 / 植物育種学 / 植物生理学 / 作物生産生理学 / ゲノム |
研究概要 |
1.予備的検討において作出した低温土中出芽性に優れる阿波赤米の対立遺伝子(qESS11b)を第11染色体にもつコシヒカリ遺伝背景の準同質遺伝子系統(NIL、阿波赤米染色体領域は約200Kb)は穂発芽耐性に劣るので、穂発芽耐性に優れるKasalathの対立遺伝子(Sdr1)を第3染色体にもつコシヒカリ遺伝背景のNILを交配し、F2集団を養成した。併せて、低温発芽性に優れる阿波赤米の対立遺伝子(qLTG3-1)を第3染色体にもつコシヒカリ遺伝背景のNILを用いて、本遺伝子が種子成熟期間の後期に胚周辺組織、胚乳で機能することを明らかにし、低温発芽時のプロテオーム解析を行った。 2.挫折型およびたわみ型倒伏抵抗性の優れる中国117号のもつ強稈の対立遺伝子(SCM3)を第3染色体に特定し、これをもつコシヒカリ遺伝背景のNIL(中国117号染色体領域は約160Kb)の作出を行った。併せて、第2染色体にある中国117号の対立遺伝子(SCM4)の候補領域の絞り込みを行った。 3.葉の光合成速度を高めるハバタキの対立遺伝子を第4染色体(CAR4)にもつコシヒカリ遺伝背景のNILとハバタキの対立遺伝子を第8染色体(CAR8)にもつコシヒカリ遺伝背景のNILを交配して作出した遺伝子座集積系統の光合成速度はハバタキ並に高くなった。これらのNILはまだハバタキの染色体領域を2Mb以上含んでいるので、候補領域の絞込みを進めた。 4.葉の光合成速度を高めるハバタキ対立遺伝子をもつコシヒカリ遺伝背景のNIL(ハバタキ染色体領域は約360Kb)と稈を太くして耐倒伏性を高めるハバタキ対立遺伝子をもつコシヒカリ遺伝背景のNIL(ハバタキ染色体領域は約480Kb)を交配して、2つの遺伝子座を集積したNILを作出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直播水稲の出芽・苗立ち性に関する研究、直播水稲の倒伏抵抗性に関する研究、葉の光合成に関する研究、遺伝子座の集積に関してはいずれも当初の計画通りに進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
1.低温土中出芽性に優れるqESS11b(第11染色体)と、穂発芽耐性に優れるSdr1(第3染色体)の両方を有するNILを作出し、集積効果を検討する。 2.低温発芽性に優れる阿波赤米の対立遺伝子(qLTG3-1)産物は低温(15℃)での発芽過程で低温ショックタンパク質(CSP)の発現を誘導し、その後種子は発芽に至ることが示された。CSPは典型的なRNA結合タンパク質の構造をしている。そこでCSPに視点をおいた解析を行うことによってqLTG3-1遺伝子産物による低温発芽誘導機構を明らかにしていく。 3.挫折型およびたわみ型倒伏抵抗性の優れるハバタキ、タカナリ、中国117号の強稈関連形質のQTL候補領域の絞り込みとコシヒカリ背景のNILの評価を行う。転び型倒伏抵抗性の異なる品種を用いて、転び型倒伏抵抗性に最も関係する形質を明らかにし、これをもとに転び型倒伏抵抗性に関わる量的形質遺伝子座(QTL)の同定を進める。併せて複数の倒伏抵抗性QTLを集積したNILを作出し、集積効果を明らかにしていく。 4.葉の光合成速度を高めるハバタキ対立遺伝子座領域を狭めたNILを作成し、複数の光合成速度を高めるQTLを集積したNILを作出し、集積効果を明らかにしていく。 5.低温土中出芽性に優れる遺伝子、耐倒伏性に優れる遺伝子、光合成速度を高める遺伝子を集積したNILを作成し、直播栽培条件において集積効果を検討していく。
|