研究課題
1.(1)異なる機構で低温発芽性を制御する阿波赤米由来の第3染色体と第11染色体の2つの遺伝子座を集積した準同質遺伝子系統(NIL)の低温発芽性は、これらの遺伝子座を単独にもつNILに比べて有意に向上し、2つの遺伝子座を集積すれば、優れた低温発芽性を有する水稲品種の育成が可能になることが示された。(2)強稈水稲品種ハバタキおよび中国117 号に由来する4つの倒伏抵抗性遺伝子座 のすべてを組み合わせたNILを用いて断面係数、断面2 次モーメントへの集積効果と倒伏抵抗性への効果を検討した。その結果、遺伝子座を多く集積するほどこれらは増加し、さらにヤング率への多面的効果によって曲げ剛性が増加し、挫折型倒伏抵抗性とたわみ型倒伏抵抗性が強化されること、とくにハバタキ由来の第1染色体の遺伝子座は稈の外径と皮層繊維組織の厚さを増して集積効果を顕著に高めることが明らかとなった。(3)多収性水稲品種タカナリ由来の葉の光合成速度を高める第10染色体の遺伝子座と葉身傾斜角度を高める第3染色体の遺伝子座を集積したNILの乾物生産はコシヒカリにくらべて有意に高まったが、これらの遺伝子座を単独に持つNILよりも有意に高くなることはなかった。ハバタキ由来の葉の光合成速度を高める第5染色体の遺伝子座は植物体の水伝導度を高めて気孔伝導度大きくすることが分かった。2.低温出芽性に優れる阿波赤米由来の遺伝子座、穂発芽耐性に優れるKasalath由来の遺伝子座、倒伏抵抗性に優れるハバタキ由来の遺伝子座と中国117号由来の遺伝子座、および光合成速度を高めるハバタキ由来の遺伝子座の計5つの遺伝子座を集積したコシヒカリを遺伝背景とするNILは、コシヒカリに比較して、光合成速度、乾物生産と収量に有意差はなかったが、低温苗立ち性と倒伏に関与する押し倒し抵抗は明らかに高まった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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