研究課題/領域番号 |
25252011
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鈴木 信弘 岡山大学, その他部局等, 教授 (70206514)
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研究分担者 |
中屋敷 均 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50252804)
近藤 秀樹 岡山大学, その他部局等, 准教授 (40263628)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | RNA サイレンシング / 菌類ウイルス / マイコウイルス / 宿主免疫 / クリ胴枯病菌 / イネいもち病菌 / 白紋羽病菌 / マイコイミュニティ |
研究実績の概要 |
大課題A,B,Cのうち、A.「宿主菌によるウイルス(分子パターン)認識、防御機構および宿主ウイル ス防御への反撃機構の解明」、B. 「DNAを介したウイルス防御反応の解明」を遂行する。A2, A5, B4は昨年度に引き続き進めた。 A2 子のう菌RNAiにおけるウイルス(分子パターン)認識機構の解明は以下のアプローチで進めた。まず、クリ胴枯病菌 ku70/80 破壊系統(任意の遺伝子 の破壊株作成効率が極めて高い)で各種の宿主ヘリカーゼ遺伝子(dsRNAセンサーとして想定)の破壊株を作成し、それらにdcl2転写開始500b上流配列を用いたレポーターコンストラクトを形質転換し、得られる株のウイルス感染応答性を調べた。これまで、レポーター系を構築し、ジェネティックスクリーンを進めている。 A5 自然免疫としてのRNAiのマイコウイルス感染における意義の解明に向けて取り組んだ。RNAi欠損株と野生型菌にRosellinia necatrix victorivirus 1, Rosellinia necatrix megabirnavirus 1を導入し、それらの挙動を両株間で比較した。RnVV1については、他のウイルスあるいはdsRNAで発現誘導されるdcl2により著しく複製が阻害されることが明らかとなった。 B4 DNAウイルスと宿主RNAiを介したせめぎ合い 最近、植物(ジェミニウイルス)、動物DNAウイルス(サーコウイルス)に類似したssDNAウイルス(CasCV, SsHA DV-1)が菌類から見つかった。昨年度に続き、SsHADV1がクリ胴枯病菌で複製可能かどうかさらに検討したが、結果は陰性であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験は予定通り遂行した。A2では、ウイルス感染応答に関与する宿主因子探索系を確立し、スクリーニングを進めている。A5では、RnPV2に対する宿主免疫に対し、dcl2がagl2よりも大きな貢献することを明らかにした。B4については、感染性のジェミニ様DNAウイルス(SsHADV1)が現在まで得られていない。現在のところ、いろんな原因が考えられるが、クリ胴枯病菌を宿主としない可能性が高い。従って、「DNA ウイルスが RNAi の標的となっているかを転写後レベル、転写レベル(ゲノム DNA のメチル化あるいは ヘテロクロマチン化を介した)で調べる」は実施していない。次年度はメタウイルスを用いて類似研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も、大課題A,B,Cのうち、A.「宿主菌によるウイルス(分子パターン)認識、防御機構および宿主ウイル ス防御への反撃機構の解明」、B. 「DNAを介したウイルス防御反応の解明」を遂行する。A2, A3, B4は昨年度引き続き進める。 A2 子のう菌RNAiにおけるウイルス(分子パターン)認識機構の解明は以下のアプローチで進める。まず、クリ胴枯病菌 ku70/80 破壊系統(任意の遺伝子 の破壊株作成効率が極めて高い)で各種の宿主ヘリカーゼ遺伝子(dsRNAセンサーとして想定)の破壊株を作成し、それらにdcl2転写開始500b上流配列を用いたレポーターコンストラクトを形質転換する。得られる株のウイルス感染応答性を調べる。 A5 自然免疫としてのRNAiのマイコウイルス感染における意義の解明に向けて取り組む。RNAi欠損株と野生型菌にRosellinia necatrix victorivirus 1, Rosellinia necatrix partitivirus 2を導入し、それらの挙動を両株間で比較する。 A6 RNAiシグナルは菌細胞間移行するか?では、植物由来のrdr(RDRP6)による相補試験を実施する。A7 染色体内在化ウイルスDNA(元々はRNAまたはDNAウイルス)の防御反応での機能では、予め染色体に組み込まれた配列が、ウイルス感染以前に2本鎖RNAの供給源になっている可能性を探る。 B4 DNAウイルスと宿主RNAiを介したせめぎ合いでは、感染性のジェミニ様DNAウイルス(SsHADV1)が現在まで得られなかった。今年度は、いもち病菌MAGGY(メタウイルス科に属するレトロトランスポゾン)を用い、RNAiとのせめぎ合いを解析する。
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