研究課題/領域番号 |
25252013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40206652)
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研究分担者 |
大塚 重人 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10313074)
磯部 一夫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30621833)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水田土壌 / 脱窒反応 / DNRA反応 / 窒素固定反応 / メタゲノム解析 / メタトランスクリプトーム解析 / デルタプロテオバクテリア / 鉄還元菌 |
研究実績の概要 |
湛水下の水田土壌では、窒素循環に関わる各種の還元反応(脱窒、硝酸のアンモニアへの異化的還元(Dissimilatory Nitrate Reduction to Ammonia, DNRA)、窒素固定)が活発に起こる。このことが、「硝酸の低溶脱」「窒素肥沃度の維持」といった水田土壌の環境調和型持続的生産性の基柱となっている。これらの反応を駆動する微生物群を明らかにすることを試みた。 前年度までに見出されたデルタプロテオバクテリア綱細菌の還元的窒素循環反応への関与を詳細に検証するために、湛水期、落水期の表層、下層土壌を対象とし、メタゲノム解析とともにシーケンス量を増やしたメタトランスクリプトーム解析を行った。脱窒反応の各ステップを触媒する酵素遺伝子(nir、nor、nos)とその転写産物を調べたところ、nirは従来の脱窒菌(アルファ、ベータ、ガンマプロテオバクテリア綱細菌)由来のものが検出された一方、norやnosは従来ほとんど検出例がないデルタプロテオバクテリア綱の鉄還元菌由来のものが高頻度に検出された。これらのことから水田土壌における脱窒反応は、デルタプロテオバクテリア綱の鉄還元菌が部分的に関与し「協奏的に」進行することが初めて示唆された。DNRAの鍵酵素遺伝子とその転写産物についても、デルタプロテオバクテリア綱の鉄還元菌由来のものが高頻度に検出された。さらに驚くべきことに、古くから水田の主要な窒素固定細菌として考えられてきた光合成細菌の窒素固定遺伝子よりも、これまでほとんど検出例のないデルタプロテオバクテリア綱の鉄還元菌の窒素固定遺伝子の方がはるかに高頻度に転写されていることが明らかとなった。以上のことからデルタプロテオバクテリア綱の鉄還元菌がDNRAや窒素固定によってアンモニアを生成している可能性が高く、水田土壌の窒素肥沃度の維持に寄与していることが初めて示唆された。
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現在までの達成度 (段落) |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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