研究課題
近年のRNAの新しい機能に関する基礎研究の進展はめざましく、特に非コードRNA(ncRNA)があらゆる生物の生命活動の制御を担っていることが明らかになってきた。そのことから、うまくデザインされたRNAは遺伝子発現を制御する薬としても期待されている。ただ、RNA生産には膨大なコストがかかる。本研究は、生産の圧倒的低コスト化をはかるための微生物によるRNA生産技術開発を目的としている。昨年度まで、大腸菌を用いるRNA生産系で世界一の収量を達成したり、海洋性細菌Rhodovulum sulfidophilumが細胞外に核酸を生産する性質を利用してRNAアプタマーやショートヘアピンRNA(shRNA)の細胞外生産に成功するなどの成果を上げてきた。生産の中心となる宿主菌であるR. sulfidophilumの安全性を確保する上で、本菌の生理学的性質や全ゲノムの解析は極めて重要であるため、最終年度の本年度は、当初の計画通り、これらの実験研究を推進した。まず、本菌の細胞外核酸生産が制御されているクォーラムセンシング(quorum sensing)機構に関する解析を行い、本菌のオートインデューサーはアシル鎖長がC20である新規なN-Acyl homoserine lactonであることを明らかにした。さらに、次世代シークエンサー454 GS FLX+(Roche)およびMiSeq(Illumina)を用いて本菌のゲノムDNAの全塩基配列を決定し解析を行った。また、本菌の詳細な網羅的遺伝子発現解析も行った。RNA生産の上で本菌には有害な遺伝子は存在しないことが明らかになった。また、一方で、本年度も、生産性を上げるための努力も行い、細胞外RNA生産量が約1.7倍増産する変異株を作成した。以上、本年度までの本研究で、細菌生理学上の様々な新発見と共に微生物を用いる全く新しいRNA生産技術が開発された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 2015 3 ページ: e00357-15
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