研究課題/領域番号 |
25252027
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平野 恭弘 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60353827)
|
研究分担者 |
谷川 東子 国立研究開発法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (10353765)
大橋 瑞江 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (30453153)
池野 英利 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (80176114)
檀浦 正子 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (90444570)
山瀬 敬太郎 兵庫県立農林水産技術総合センター, 森林林業技術センター, 研究主幹 (90463413)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 林学 / 土壌 / 森林工学 / 減災 / 樹木根 |
研究実績の概要 |
地中レーダ探査を用いて推定される根の位置情報から根系の広がりを推定するために、前年度までにレーダ探査されたクロマツ個体及びスギ個体のレーダ反射波形データから根系位置情報の推定を引き続き行った。推定された根の位置について、林内で根系の一部掘り取りを行い、推定精度の確認を行ったところ、対象としたクロマツ個体では9割程度の正答率を得た。また根の点情報から根の三次元構造を推定するプログラム開発を進めた。このプログラムを用いて再構築された推定根系構造を、本年度根系全体の掘り取りを行ったクロマツ個体と比較したところ、5割程度の主要水平根系が再現可能であることが示された。 地中レーダを用いた樹木根検出の制限要因について、前年度までに実施した地表面におけるリターの影響について、影響を受けるレーダパラメータ及び受けにくいパラメータについて定量的な解析をおこなった。その結果、反射時間に関するパラメータについては影響を受けにくいものの、強度に関するパラメータではリターの厚さの影響を強く受けることが明らかとなった。またレーダ波形パラメータ特性から樹種を特定することは困難であることも示唆された。本結果は、国際Plant and Soilに掲載された。 地中レーダ探査から得られる根系パラメータから間接的に根の抵抗力を推定するために、スギ個体について、引き倒し抵抗力に強く関連する根鉢と掘り取りを行った根系構造との関連性を解析した結果、根鉢境界に生育する根の直径や断面積合計と引き倒し抵抗力との関係性が示唆された。 これまでに本課題で得られた成果について、それらの解説パンフレットを作成し、行政・研究機関、樹木医、ボランティア、民間など広く対象とした公開講演会を開催した。本講演会には100名以上の参加があり、今後の本課題の実用へ多くの要望が寄せられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一つめの目的であるレーダ探査パラメータから根の広がりの推定については、推定された根の位置情報から根の三次元構造を復元するプログラムが順調に構築されている。また地中レーダを用いた根系検出の制限要因については、リターによる影響の有無を国際誌に公表した。 二つめの目的であるレーダ反射パラメータからの根系強度推定については、スギ個体について引き倒し抵抗力と根鉢との関連性の解析が進んでおり、国内学会でも発表された。 またこれまで本課題から得られた知見について、一般向けパンフレットを作成し、公開講演会を実施した。 以上の通り、それぞれの目的達成に向けて、順調に解析、公表が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
レーダ探査後のレーダ波形から根系構造を推定するために、レーダ波形について効率良く精度高い抽出が必要であり、抽出方法の精度向上が課題としてあげられる。 根系強度をレーダ波形から間接的に推定するために、レーダ反射パラメータ-根直径の関係式を精度高く構築することが必要である。また引き倒し試験を行ったクロマツ個体根系の掘り取りが本年度実施されたため、掘り取りされた根系の構造データ解析とレーダから推定された根系構造との比較解析、さらに根系強度との関連解析を進める必要がある。
|