研究課題
地中レーダ探査を用いて推定された根の位置情報から根の広がりを推定するため、まず昨年度愛知県でレーダ探査後に掘り取りを行ったクロマツ根系構造についての解析をおこなった。その結果、汀線に近い地下水位の高い場所に生育するクロマツ根系には垂直根が認められず、水平根の数が多くその断面積合計も大きくなる傾向にあった。一方で、汀線から離れた地下水位の低い場所に生育するクロマツには、一般的なクロマツ根系とされる深い垂直根が認められた。また、地上部と地下部の比を両調査地で比較すると、地下水位の高い汀線に近い調査地のクロマツは、地下部へのバイオマス配分が大きいことが明らかとなった。この結果は、国際誌Plant and Soil誌に公表された。また地中レーダで推定された根の位置情報と根直径から個体レベルの根系構造を推定するために、昨年度までに根の点情報をつないで三次元根系構造を復元するプログラムを開発したが、その精度を明らかにするために、上記で掘り取りを行ったクロマツについて、地中レーダ探査から根系三次元構造の復元を試みた。その結果、水平根の太い根のつながりは高い精度で再現できることが明らかとなった。一方で根の数が多くなるとその精度は低下する傾向にあった。地中レーダ探査で推定された根の直径から根系強度を推定するために、引き倒し抵抗力とレーダ探査を行う同心円状探査測線下で掘り取られた根の直径情報との比較を行った。その結果、クロマツでは垂直根や水平根の断面積合計と引き倒し抵抗力との間に関係性が認められた。したがって、地中レーダにより、根の断面積を推定できれば引き倒し抵抗力を推定できる可能性が示唆された。地中レーダを用いた樹木根の検出方法の応用性について一般に広めるため、兵庫県において減災との関わりなど様々機会で講演会をおこなった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant and Soil
巻: - ページ: -
https://doi.org/10.1007/s11104-018-3630-9
日本緑化工学会誌
巻: 43 ページ: 133~137
https://doi.org/10.7211/jjsrt.43.133