研究課題
カオリナイトを用いてリン酸吸着が粘土鉱物の分散凝集性に与える影響を測定し、その結果を理論計算値と比較した。ゼータ電位の測定の結果,pHの増加および平衡リン酸濃度の増加にともない,ゼータ電位は負に増加する傾向がみられた。pH増加およびリン酸の吸着による凝集速度の低下は,粒子端面の変異荷電部位に負の荷電が与えられ,粒子間の静電斥力が増加したためであると考えられる。一方で,pH6以下ではpHによらず凝集速度は一定であった。このときの吸光度変化は急速凝集条件(NaCl濃度1M)のものと一致した。ゼータ電位を表面電位と仮定し,カオリナイトを球粒子とみなして,DLVO理論による安定度比を計算した。吸光度法によって測定された安定度比とDLVO理論による予測は定性的に一致し,両者ともに-15~-20mVが分散凝集の境となった。このことから,カオリナイトの分散凝集性にリン酸吸着が与える影響の評価には,DLVO理論が有効であると考えられた。一方で,それ以下のゼータ電位では,実測値は理論値に比べて低い値を示した。この差はカオリナイトの表面構造や表面荷電の不均一性に由来することが予測されるが,さらなる検討が必要である。リン酸吸着に伴うカオリナイトの分散凝集メカニズムは,基本的にはゼータ電位で評価出来て,土壌侵食の予測に適用できることを示した.アニオン性界面活性剤の,多腐植質黒ぼく土中での移動実験を行った.同じ溶液条件において,水の流速が遅くなると,吸着量が増加してアニオン性界面活性剤の流出が遅れることを確認した.これは,疎水性相互作用による吸着現象の特徴と考えられる.界面活性剤を汚染土壌洗浄剤として実用化する際には,水の平均流速の影響を考慮する必要があることが明らかとなった.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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農業農村工学会論文集
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