研究課題/領域番号 |
25252044
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 教授 (60311544)
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研究分担者 |
溝口 勝 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00181917)
村上 周一郎 明治大学, 農学部, 准教授 (00243329)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 温室効果ガス / メタン / 二酸化炭素 / 天然安定同位体比 / メタン生成古細菌 / 熱帯水田 / 温帯水田 / 長期変動 |
研究実績の概要 |
東京都府中市の東京農工大学FM府中本町水田において調査を実施した。イクヒカリの苗を2015年5月15日に定植した。中干しは、定植後60-68日に行なった。稲直下と株間の土壌深さ3, 9 15cmに土中ガス採取用のシリコンチューブを埋設して、土中ガスを採取した。採取した土中ガスは、ガス分析計を使って、CO2, CH4濃度およびこれらガスのd13C比を測定した。湛水期間中の稲下と株間土壌では、酢酸還元反応でCH4とCO2が生成され、 生成されたCO2は直ちに二酸化炭素還元反応によってCH4に還元されたと考えらる。中干し期間中にはCH4が参加されてCO2が生成された。この期間のCH4酸化は稲下よりも株間土壌で活発であった。 FM府中本町水田においてオーブンパス渦相関法を使って2015年5月9日から12月17日まで二酸化炭素フラックス変動を連続測定した。また、タイ国カセサート大学カンペンセン校構内の水田でも2014年6月26日から2015年1月31日まで同様の連続測定を行なった。全測定期間の積算CO2フラックスは日本の方がタイよりも高かった。これは、栽培期間中のCO2吸収がタイの方が大きかったことによると考えられる。休閑期ではタイの方が日本より積算CO2フラックスが大きかった。タイの気温の方が高く推移したために土壌呼吸量が増加したためだと考えられる。 クローンライブラリー法を使って土壌微生物の16SrRNA遺伝子解析を行なった。その結果、日本とタイの水田土壌中から採取したメタン生成古細菌群集が異なることが分かった。Rice Cluster IIIには日本の常在菌が多数存在していたが、タイ土壌からの菌は少なかった。間断灌漑期間中の土壌細菌はCluster Iに分類された。従来、メタン生せ古細菌はユリアーキオータ門に属すると言われてきたが、好熱菌に分類されるクレンアーキオータ門に分類される細菌が湛水期間中のタイ土壌から発見された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
府中水田におけるCH4フラックス測定が測定機器が不調であったために、十分に把握できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
測定機器の不調が解消されたので、今年の稲作期のCH4, CO2フラックスとd13C比の測定は連続して可能だと考えらる。また、脱窒・硝化に関連する土壌細菌の解析を進める。
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