研究課題
骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)は、組織の慢性炎症に伴う発がんや増殖、転移を含む炎症刺激に反応して骨髄より誘導される未成熟な免疫細胞の集団であり、炎症を”抑える”免疫細胞群として注目されている。しかし、その性状については不明な点も多い。申請者はこのMDSCが炎症抑制性の脂質メディエーターとして知られる、プロスタグランジンD2を多く産生していることを予備知見として見出した。そこで、本提案ではMDSCがマウスの癌移植モデルの増殖や転移に与える影響について、特にPGD2の産生とその作用に注目して解明することを目的とした。最終年度となる平成29年度において、申請者は、①マウスの移植肺癌と皮膚癌モデルを用いて、MDSCが産生するPGD2が癌の増殖を抑える働きをもつこと、②その機構として、PGD2は癌の中の血管の透過性や新生を強力に抑える働きを持つことをまず証明した。さらに、③マウスの肺癌と皮膚癌の転移モデルを用いて、MDSCが産生するPGD2が、癌の転移をも制御する働きをもつこと、その作用はPGD2受容体の1つであるDPを介していることを証明した。④その詳細な機構としてPGD2がMDSC自身のサイトカイン産生やケモカイン産生を調節する働きをもつことも明らかにし、⑤この受容体刺激がマウスにおける癌転移を有意におさえることを発見した。これらの成果は、将来の癌の増殖、転移の治療法開発に大きく寄与する可能性がある。これらの成果は学会発表と論文発表という形で公表した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
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