研究課題/領域番号 |
25252059
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
篠田 徹郎 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域・昆虫成長制御研究ユニット, ユニット長 (10355620)
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研究分担者 |
大門 高明 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域・昆虫成長制御研究ユニット, 主任研究員 (70451846)
粥川 琢巳 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域・昆虫成長制御研究ユニット, 任期付研究員 (70580463)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カイコ / ノックアウト / TALEN / ゲノム編集 / 幼若ホルモン / 脱皮 / 変態 |
研究概要 |
平成25年度は、JH生合成遺伝子JHAMTおよびJH受容体Met1, Met2遺伝子のノックアウトカイコの作出・系統樹立に成功し、着実に本課題を遂行することができた。 1. "JHフリー"のカイコの解析:カイコのJH生合成遺伝子JHAMTのノックアウトに成功し、JHAMTノックアウト系統を樹立した。JHAMT変異体では既存のCYP15C1変異体と同様に、早熟変態が起きることが判明した。また、JHAMTとCYP15C1のダブルミュータント系統も樹立し、"JHフリー"カイコを作出することができた。 2. JH受容体ノックアウトカイコの解析:カイコのJH受容体遺伝子Met1, Met2遺伝子のノックアウト系統の樹立に成功した。Met1, Met2シングルノックアウト系統について表現型解析を行った。また、Met1, Met2ダブルノックアウト系統も樹立した。 3. "competence"獲得メカニズムの解析:H25年度の結果から、(1) カイコの胚発生においてJHはほとんど役割を果たしておらず、JHまたはJH受容体が無くても胚子発生は正常に進むこと、(2) "JHフリー"のノックアウト系統、およびJH受容体ノックアウトカイコにおいても、1齢、2齢幼虫は蛹変態をしないことが判明した。このことは、カイコの若齢期においては、JH以外にも別の蛹変態を抑制する因子が存在する可能性、あるいは、competenceを付与する"competence factor"が存在し、その効果は3齢期以降でないと表れない可能性を示唆している。 4. TALENを用いたノックアウトカイコ作出法について、そのプロトコルを効率化することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度のまず第一の目標としていた、JH生合成遺伝子JHAMTおよびJH受容体Met1, Met2遺伝子のノックアウトカイコの作出・系統樹立に成功した。得られたノックアウト系統の表現型解析も着実に遂行できている。本研究課題の遂行の過程で、TALENを用いたノックアウトカイコ作出法の高度化を図り、完全に実用レベルにのせることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に作出したノックアウト系統を用いて、幼若ホルモンシグナリングの全容解明と、若齢期における幼若ホルモンの役割の解明について、引き続き本課題を遂行する。 平成26年度中には表現型解析を完了させ、できるだけ早いうちに投稿論文としてまとめたい。
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