研究課題
多岐に渡る細胞機能を制御するタンパク質アルギニンメチル化は、PRMT ファミリーによって触媒される反応である。PRMT1 は細胞内のアルギニンメチル化の85%を担っている酵素であり、遺伝子欠損マウスの解析より胎生 6.5 から7.5 日目において胎生致死を示すことから、発生を始めとする多彩な生命現象に深く関与していること考えられる。我々は、培養内皮細胞にて PRMT1 の発現を抑制すると管腔形成が著しく促進するという興味深い現象を見出した。しかしながらPRMT1の内皮細胞機能に対する生理的意義については不明である。平成26年度は、PRMT1 の血管内皮細胞特異的な機能の解明に向け、内皮細胞特異的 PRMT1ノックアウトマウスの作製を試みた。血管内皮細胞特異的に Cre 組換え酵素を発現する Tie2-Cre マウスを導入し、平成25度に樹立したPRMT1-flox マウスと交配を行うことで、解析対象である内皮特異的 PRMT1 ノックアウトマウスを得ることに成功した。これまでに、ホモ欠損マウスは胎生期の血管形成に異常が認められることが判明し、現在より詳細な血管の構造解析を進めている。
1: 当初の計画以上に進展している
PRMT1の遺伝子欠損マウスは胎生致死を示すことから、栄養補給路におけるPRMT1の機能を知るためには、組織特異的な遺伝子の欠損が重要である。内皮細胞特異的ノックアウトマウスの樹立に成功した。内皮PRMT1のホモ欠損マウスは、胎生期に血管形成の異常が認められたことから、栄養補給路としての血管組織におけるPRMT1の重要性を明らかとした。
平成26度の結果を受け、平成27度は、内皮細胞特異的PRMT1欠損マウスで認められる栄養補給路の形成異常について、イーメジング法を駆使して詳細な解析を試みる。また、in vitroにて血管内皮細胞の評価系を用いて、PRMT1のメチル化活性と内皮細胞機能の関連性を検討することで、内皮PRMT1による栄養補給路の分子制御基盤の解明を目指す。
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