研究課題
1)NOの生成機構の解析NO特異的蛍光プローブを用いて細胞内のNOレベルを測定したところ、酵母の野生型株を過酸化水素処理した時に観察されるNO生成が、TAH18遺伝子の発現抑制や哺乳類NOSの阻害剤であるL-NG-Nitroarginine methyl ester(NAME)処理により抑制された。このことから、過酸化水素処理条件下でTah18依存的なNOS様活性によりNOが合成されることが示された。またDRE2過剰発現株では、TAH18発現抑制株と同程度までNO合成が低下したことから、Dre2タンパク質が酵母のNOS様活性を阻害することが示唆された。一方、共免疫沈降とウェスタンブロッティングによる解析から、過酸化水素処理条件下でTah18-Dre2複合体が経時的に解離することが示された。2)NOの生理的役割の解析過酸化水素処理後の細胞生存率測定により細胞死の程度を評価したところ、TAH18発現抑制やNAME処理により細胞死は有意に阻害された。興味深いことに、TAH18発現抑制株にNAMEを処理しても阻害効果は軽微であったことから、Tah18依存的なNOS様活性により合成されるNOが細胞死誘導に寄与するものと考えられた。これらの結果は、Tah18依存的なNOS活性・NO合成が、ストレスの種類や条件に応答して「細胞死・細胞保護」と言う異なる機能を発現する可能性を提示している。3)病原真菌におけるNOの生成機構・生理的役割の解析と病原性への寄与の検証Aspergillus fumgiatus 培養時に、過酸化水素添加や高温ストレス処理すると、NO特異的蛍光プローブによる染色が菌糸内に確認できたことから、これらのストレスに応答したNOの生成が示唆された。また、Cryptococcus neoformansにおいて、プロモーター部位を改変してTAH18の発現抑制株を構築したところ、生育が抑制されたことから、TAH18 は必須遺伝子であることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
Nitric Oxide-Biology and Chemistry
巻: 52 ページ: 29-40
org/10.1016/j.niox.2015.11.001
巻: 印刷中 ページ: 印刷中