研究課題/領域番号 |
25253005
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内海 英雄 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 特任教授 (20101694)
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研究分担者 |
兵藤 文紀 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (10380693)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イメージング / レドックス / フリーラジカル / 酸化ストレス / 病態モデル |
研究概要 |
DNP-MRI(OMRI;Overhauser-MRI)は動的核偏極を用いた新たなフリーラジカルイメージング法である。応募書類に既述したように、申請者は簡易型および高感度型の装置を自作し、簡易型装置を用いて、このイメージング法の有用性を示してきた。本研究では、ヒトへの適用性を視野に入れ新たなレドックスイメージングプローブ法を開発することが目的である。そこで、以下の点を研究し期待する成果を得たので、現在、論文に登校中である。 1)CoQ, FADに加え、種々のレドックス反応中間体ラジカルを作成し、イメージングの可能性を探索した。その結果、従来の可視化法では不可能であった広幅ないし多分裂吸収線を与えるフリーラジカルを複数種同時に可視化できる方法を見出した。また、複数のレドックス代謝中間体を分光学的に分離可視化するために電子スピン励起電磁波周波数を変えイメージングを得る方法を新たに見出した。本方法はレドックス代謝中間体を2次元空間に共鳴周波数を新たな次元として加えて可視化できることから物質の空間分布を分光学的に捉えることができる。これらの結果については論文投稿中である。 2)CoQ, FADのレドックス反応中間体ラジカルを作成し試験管内でミトコンドリアと反応させレドックスイメージングの経時変化を再イメージングすることで異なった代謝速度で変換することを可視化した。また、同反応中間体ラジカルをマウスに筋肉内投与し、組織中でのレドックス代謝を可視化した。その結果は、ミトコンドリアでの結果とほぼ同じ傾向を示した。 3)高感度OMRI装置は非常に高度かつ操作が専門技術を要するもので、開発したものの定常的に動物実験に使用することが困難であった。そこで、新たに、簡便はアルゴリズムとソフトウエアーを注文し、導入した。今後は、実際に稼働させその有用性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度で計画していた生体内物質を原材料とするレドックス反応中間体ラジカルのDNP-MRIイメージングに関しては、従来の可視化法では不可能であった広幅ないし多分裂吸収線を与えるフリーラジカルを複数種同時に可視化することを可能とした。加えて、電子スピン励起電磁波周波数を変えることで、複数のレドックス代謝中間体を分光学的に分離可視化できることも実証した。これらの結果については論文投稿中である。 一方、レドックス代謝反応の可視化については、CoQ, FADのレドックス反応中間体ラジカルを作成し試験管内でミトコンドリアと反応させ、継時的にレドックスイメージングを取得することに成功した。各ピクセルでの経時変化を再イメージングすることで代謝速度イメージングも行った。同じラジカルをマウスに筋肉内投与し、マウスでのレドックス代謝の可視化を行い、ミトコンドリアでの結果とほぼ同じ傾向が得られた。 以上に既述した通り、全く新しいレドックスイメージングの原理が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では探索的研究を遂行し、多くのシーズが見いだされた。そこで、平成26年度以降は以下の研究を推進する。 1)これまで得られた結果はOverhauser効果のみでは説明できない部分がある。そこで、平成25年度でのイメージング結果を物理化学的見地から詳細に解析する。特に、脂溶性ラジカル中間体に関してはリポソームなどの膜系に組み込むことで、DNPの変動を生体に模倣し、解析する。 2)レドックス代謝中間体ラジカル間での電子移動の可視化を試みる。もし、電子伝達系での分子間電子移動がイメージングできればまさにレドックス代謝そのものの可視化につながる。紫外線吸収で古典的に解析してきた現象をイメージング手法で行うことは、究極的分子・機能イメージングとなりえる。 3)病態モデルマウスを作製し、レドックス代謝中間体ラジカルをプローブとして投与し、画像化を試みる。特に、ヒトでの新たな画像診断法を意図して病態モデルを選択する。 4)高感度OMRI装置を実際に稼働させ、26年度においてはファントム実験から高分解・高感度レドックスイメージングを実証し、その有用性を検討する。
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