研究課題/領域番号 |
25253008
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森山 芳則 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10150658)
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研究分担者 |
宮地 弘幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20376643)
井上 剛 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40370134)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生化学 / 化学伝達 / トランスポーター |
研究概要 |
【1】Cl-とケトン体結合部位の同定:VGLUTについて、次の2つを実施した。 (1)3D構造上、Arg184の近傍に位置する10箇所のアミノ酸残基のアラニン置換体と、ループ領域内の10箇所のアラニン置換体を調製した。これまでに、グルタミン酸輸送におけるCl-とケトン体・グリオキシル酸による影響を半数のVGLUT変異体で測定した。(2)調製した高純度VGLUT2タンパク質とHPLCならびに質量分析計を用い、Cl-並びにケトン体・グリオキシル酸でブロックされるDIDSの結合部位を化学修飾法により決定することを試みている。 【2】アロステリック効果による構造変化とモノマー/オリゴマー変換の実証 N末端領域に蛍光性タンパク質AmCyanあるいはEYFPを融合したβ-EYFP-VGLUT-αまたはβ-AmCyan-VGLUTαを調製し、モノ・オリゴマー変換をFRETにより測定した。 【3】 細菌ホモログ・トランスポーターの結晶構造解明(アニオン・スイッチの構造解明)細菌ホモログの基質結合型・非結合型・アニオン結合型の3つの構造の比較から、アニオン結合部位・基質結合部位の構造を決定する。 【4】ケミカルバイオロジー手法・ケモインフォマティックス手法による制御剤リード化合物の設計・合成・評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【1】ー(1)については、作成した20個の変異体のうち半分の活性を調べ、その内1種にCl-による活性活性化効果が弱い物をみつけた。 (2)については、質量分析により、VGLUT2の膜貫通領域を含む全体の60%のペプチドを同定することが可能となった。この測定系によりDIDS結合部位と思われるペプチドを同定した。 【2】N末端領域に蛍光性タンパク質AmCyanあるいはEYFPを融合したβ-EYFP-VGLUT-α及びβ-AmCyan-VGLUTαを調製し、FRET測定を行ったところ、FRETを観察した。FRETの結果より、少なくともVGLUT2は三量体以上を形成していることが明らかとなった。 【3】 細菌ホモログ・トランスポーター(基質非結合型)の結晶構造を4オングストロームの解像度で解明した。 【4】グリオキシル酸の構造類似体を10種もちい、特に、神経からのグルタミン酸の量子分泌に対する効果を測定した。グリオキシル酸より十倍程度強力なものを見いだしている。
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今後の研究の推進方策 |
計画にそって実施する。 【1】ー(1)については残りの変異体の解析を進める。また見いだしたCl-効果が変動する変異体近傍にさらに変異を導入し、その効果も調べる。 (2)質量分析計による測定法が確立できたことから、変異体の解析とあわせ、まずDIDS結合部位を決定する。 【2】モノ・オリゴマー変換を基質や阻害剤存在化で行う。また電子顕微鏡で観察する。 【3】また、解像度が低いので、少なくとも3.5オングストローム程度の解像度となる結晶を調製する。アニオン結合型も解析する。 【4】については、量子放出効果と輸送活性阻害効果との対応を調べる。また、VGLUT2のホモログであるvesicular nucleotide transporter VNUTの特異的阻害剤を開発する。
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