研究課題/領域番号 |
25253016
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡村 康司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80201987)
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研究分担者 |
中川 敦史 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (20188890)
藤原 祐一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20532980)
坂田 宗平 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (40528006)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イオンチャネル / 不飽和脂肪酸 / 蛋白質モジュール / 膜電位 / リン脂質 |
研究実績の概要 |
VSPとVSOP/Hv1について、電位センサードメインと酵素ドメイン、電位センサードメイン同士の共役機構を明らかにするため、主として発現系細胞を用いた解析を進め、以下のことを明らかにした。 (1)VSPについて、酵素ドメインが電位センサーで活性化する際に、膜とのアクセシビリティーが変化するのか、細胞内領域の構造が変化することが重要なのかを区別するべく、非天然蛍光アミノ酸であるAnapをsite directedな形で導入する実験系の構築を行った。細胞内ループの部分を中心に10箇所もの部位にAnapを導入することに成功し、膜電位に依存する構造変化が生じる部位を特定することに成功した。また、DPAとのFRETの現象に着目し、膜電位変化に伴う細胞質領域と膜の間の距離の測定を行う実験系の構築を行うことに成功した。 (2)VSOP/Hv1について、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸の作用を詳細に解析し、尾部の親水性部分がチャネル活性化修飾機構には重要であることを明らかにした。また、ウニVSOPとマウスVSOPの網羅的なキメラ実験を行い、両者の20-30倍近くの活性化速度の違いが、三番目の膜貫通領域細胞内側S3aとN末端側の構造に由来することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
細胞内漁期の任意の部分に、遺伝学的に蛍光を導入する技術をVSPに適用することに成功し、膜電位変化に伴う細胞内領域の構造変化の検出に世界で初めて成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
Anapによる構造変化の検出方法は、イオンチャネル関連蛋白質だけでなく、GPCRなど、幅広い膜タンパク分子に適用可能であり、今後膜でのシグナル伝達の研究へ波及効果を示すと期待される。一方で、Anapの蛍光信号が変化する物理化学的基礎がまだ十分には解明されておらず、タンパク質の詳細な構造変化を検出するには、この基本的な原理の解明が急務となってきた。今後は、静的なタンパク構造の情報に、Anapなどを用いた動態解析手法をアグレッシブに組み合わせて研究を行うことで、モジュール間の共役の原理を明らかにしていく。
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