研究課題
本研究では、最近我々が細胞内生成を明らかにしたシステインパースルフィドをはじめとした活性ポリスルフィドの生理機能を明らかにするために、活性酸素シグナルのユニークなレドックスシグナル記号(コード)として機能する「システイン―ポリスルフィド・コード」の司る活性酸素シグナル伝達機構を解明することを目的としている。本年度は、細胞内活性イオウ分子種の蛍光イメージング解析とポリスルフィド化タンパク質を検出するポリサルファプロテオミクス法の構築を行った。活性イオウ分子種の蛍光イメージング解析では、ポリスルフィドを特異的に検出する蛍光プローブとしてSSP2およびSSP4を用いた方法を構築した。この解析システムにより、ヒト肺がんA549細胞をはじめとする各種培養細胞での解析を行い、システインパースルフィド産生酵素であるCSEに依存した蛍光強度の増加が観察された。また、蛍光イメージングの結果は、質量分析により定量したポリサルファレベルと相関することも確認された。ポリサルファプロテオミクスの構築では、ポリサルファ化タンパク質を特異的に検出するシアノ(CN)化ビオチンを用いたTag-Switch-Tag法を開発した。2次元電気泳動と本検出法によるA549細胞ライセートの解析では、40種類以上のポリサルファ化タンパク質を同定した。システイン-ポリスルフィド・コード解明のために、ポリサルファ化システイン残基の同定や酸化ストレスによる変動などさらに詳細な解析をすすめる予定である。
2: おおむね順調に進展している
予定していた活性イオウ分子種のイメージング解析とポリサルファプロテオミクスの構築をおこない、様々な試料を用いた解析を通して、計画していた以上の成果を得ることができたと考えられる。
これまでのところ、ほぼ当初の研究計画に沿った成果が得られており、計画変更を要するような研究上の問題はない。本年度までの成果を踏まえながら、今後も当初の計画どおりに研究を推進していく。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 9件、 謝辞記載あり 9件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 10件) 備考 (1件)
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