研究実績の概要 |
以下の2つ課題のを中心に研究を実施した。 1.RNA-Seq法によるトランスクリプトーム解析 ラットにスポロゾイトを静注し、静注後24時間、36時間、48時間、58時間の各時間においてRNA-Seq法でトランスクリプトーム解析を実施した。24時間はtrophozoiteから初期schizont, 36時間は中期schizont、48時間は後期schizontからcytomere、58時間は成熟merozoiteにそれぞれ相当する。具体的には100万から500万の唾液腺由来スポロゾイトをラットに静注し各時間に肝臓をPBSで還流し摘出後、total RNAを抽出し調製したRNAよりライブラリーを作成した。配列をIonproton systemで解析し,得られた配列データからマラリア原虫及びラットのrRNA, tRNAをフィルタリングして除いた後、マラリア原虫ゲノム配列とラットゲノム配列を合わせた仮想ゲノム上にマッピングした。マラリアゲノム上に60塩基完全マッチでマップされたリードのみを最終的に以降の解析に使用した。本研究によって取得されデータはマラリア原虫の肝臓ステージにおける世界で初めての本格的トランスクリプトームである。 2.構造解析とプロファイリング 次に得られたトランスクリプトームデータに基づき発現プロファイルを解析した。全体のリード数と各遺伝子ORFの長さからRPKM値(Reads Per Kilobase of exon model per Million mapped reads)を算出しデータを標準化した後、遺伝子を発現パターンに従いクラスタリング(グループ分け)を実施した。得られたデータをもとに1. 24時間と36時間で発現ピークを形成する。2.分泌シグナル配列を有する。という2つの条件に従いセクレトームの候補をスクリーニングした。スクリーニングの結果数十個の候補遺伝子を選択することに成功した。
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