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2015 年度 実績報告書

セクレトームに基づくマラリア肝臓ステージの宿主寄生虫間相互作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25253027
研究機関三重大学

研究代表者

油田 正夫  三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90293779)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードマラリア / 肝臓ステージ / ワクチン
研究実績の概要

27年度は以下の研究を実施した。
分泌たんぱく質の予測:RNA-seq法によるトランスクリプトーム解析のデータに基づき肝臓ステージで発現される遺伝子を同定した。さらにこれらの遺伝子から構造に基づき分泌性たんぱく質の候補遺伝子を複数同定した。同定した個々の遺伝子についてGFP融合蛋白発現コンストラクトを、人工染色体を用いて作製し、ネズミマラリア原虫にトランスフェクションした。組み換えネズミマラリア原虫のスポロゾイトを培養肝細胞HepG2に感染させ細胞質への輸送をコンフォーカルレーザー顕微鏡で観察した。この実験の結果細胞質または寄生胞に分泌される原虫たんぱく質を複数同定した。
分泌たんぱく質のエピトープ予測:次にすでに細胞質への分泌を確認しているたんぱく質LISP2に関しクラス1抗原エピトープの予測をおこなった。アミノ酸配列から20種類程度のエピトープを予測しそれぞれに関しペプチドを合成した。遺伝子操作で弱毒化したネズミマラリアのスポロゾイトでマウスを免疫した後、脾臓からリンパ球を回収しこれらのエピトープを認識しているT細胞が存在しているかを解析した。その結果T細胞は特に4種類のエピトープに強く反応することがわかった。
各種ワクチンの作製:以上のデータを下に、組み換えアデノウイルス、DNAワクチンコンストラクト、および長鎖ペプチドワクチンを設計・作製した。組み換えアデノウイルスはマウス筋肉内に注射し免疫した後、ネズミマラリアスポロゾイトをチャレンジして免疫が付与されたかどうかを確認した。DNAワクチンコンストラクトはジーンガンを用いてマウスを免疫し,同様にネズミマラリアスポロゾイトをチャレンジした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肝臓ステージのトランスクリプトーム解析に初めて成功したこと、またそこから予定通りセクレトームを予測できたことは大きな成果である。またいまだ抗原数は少ないがエピトープの予測から各種ワクチン作製までの手法を確立したことは大きな進歩であると考える。

今後の研究の推進方策

今後はこれまで実施してきた肝臓ステージのトランスクリプトーム解析、セクレトーム予測を完了すること、さらにChIP-seq法による標的遺伝子解析を加えて肝臓ステージの遺伝子解析の完成度をさらにあげることを予定している。また、新たなワクチン候補の探索を引き続き実施するとともに、ワクチンの効果をさまざまな異なる免疫手法のもとで比較し最適な免疫条件を探索する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Global transcriptional repression: An initial and essential step for Plasmodium sexual development2015

    • 著者名/発表者名
      Yuda M, Iwanaga S, Kaneko I, Kato T.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 112 ページ: 12824-12829

    • DOI

      10.1073/pnas.1504389112

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genome-Wide Identification of the Target Genes of AP2-O, a Plasmodium AP2-Family Transcription Factor2015

    • 著者名/発表者名
      Yuda M, Iwanaga S, Kaneko I, Kato T
    • 雑誌名

      PLoS Pathog

      巻: 11 ページ: 1-27

    • DOI

      10.1371/journal.ppat.1004905

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2017-01-06  

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