研究実績の概要 |
27年度は以下の研究を実施した。 分泌たんぱく質の予測:RNA-seq法によるトランスクリプトーム解析のデータに基づき肝臓ステージで発現される遺伝子を同定した。さらにこれらの遺伝子から構造に基づき分泌性たんぱく質の候補遺伝子を複数同定した。同定した個々の遺伝子についてGFP融合蛋白発現コンストラクトを、人工染色体を用いて作製し、ネズミマラリア原虫にトランスフェクションした。組み換えネズミマラリア原虫のスポロゾイトを培養肝細胞HepG2に感染させ細胞質への輸送をコンフォーカルレーザー顕微鏡で観察した。この実験の結果細胞質または寄生胞に分泌される原虫たんぱく質を複数同定した。 分泌たんぱく質のエピトープ予測:次にすでに細胞質への分泌を確認しているたんぱく質LISP2に関しクラス1抗原エピトープの予測をおこなった。アミノ酸配列から20種類程度のエピトープを予測しそれぞれに関しペプチドを合成した。遺伝子操作で弱毒化したネズミマラリアのスポロゾイトでマウスを免疫した後、脾臓からリンパ球を回収しこれらのエピトープを認識しているT細胞が存在しているかを解析した。その結果T細胞は特に4種類のエピトープに強く反応することがわかった。 各種ワクチンの作製:以上のデータを下に、組み換えアデノウイルス、DNAワクチンコンストラクト、および長鎖ペプチドワクチンを設計・作製した。組み換えアデノウイルスはマウス筋肉内に注射し免疫した後、ネズミマラリアスポロゾイトをチャレンジして免疫が付与されたかどうかを確認した。DNAワクチンコンストラクトはジーンガンを用いてマウスを免疫し,同様にネズミマラリアスポロゾイトをチャレンジした。
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