本年度は以下の研究を実施した。 1.肝臓感染前のスポロゾイトステージ、肝臓感染後24時間、36時間、48時間の肝臓ステージでRNA-seqによるトランスクリプトーム解析を実施し、肝臓ステージのdevelopmentと遺伝子発現の関係を解明した。肝臓ステージの遺伝子発現プロファイル解明は遺伝子の機能を推測する貴重な手掛かりであり、肝臓ステージ研究の進展に大きく寄与すると考える。また以上の研究により本プロジェクトの中心課題であるRNA-seqによる肝臓ステージのトランスクリプトーム解析を完了させることができた. 2.本年度は新たに肝臓ステージ転写因子AP2-LのChIP-seqによるターゲット遺伝子の同定を試み、これに成功した。肝臓ステージ転写因子のターゲット解析は世界でも初めての成果である。今後今回得られたChIP-seqデータと肝臓ステージのトランスクリプトームデータを比較し肝臓ステージでの遺伝子発現制御の仕組みを詳細に解明したいと考える。加えて肝臓ステージでは新たに転写因子を同定することができた。その標的遺伝子について現在ChIP-seqによると解析を実施中である。 3.肝臓ステージの分泌蛋白であるLISP2を発現する組み換えアデノウイルスを作製した。またこれをマウスに摂取し防御免疫が誘導できるかを評価した。さらに本遺伝子を用いてDNAワクチンを作製しその効果を検討した。 4.LISP2のエピトープ解析を実施した。この解析により複数のエピトープを同定した。さらにこの結果をもとに長鎖ペプチドワクチンを作製しマウスに投与し、防御免疫を誘導できるかを評価した。
|