研究課題
これまでの研究で、5/6腎摘出(5/6Nx)により作成した慢性腎不全モデルマウスの肝臓において、転写因子Albumin D-site binding protein (DBP)発現量の低下およびTGF-βシグナル活性の亢進を明らかにした。これらの機序および生理学的意義を詳細に検討する目的で、慢性腎不全モデルマウスの肝臓で、遺伝子発現変化の網羅的解析をマイクロアレイ法で行った。その結果、慢性腎不全モデルマウスの肝臓で、薬物代謝に関わる多くの遺伝子の発現量が低下することを明らかにした 。その中でも、レチノール代謝の変容に着目し、発現が低下したレチノール代謝関連遺伝子の詳細を調べると、全てCYPsであることが明らかとなった。それらの中で、CYP3A11およびCYP26A1はレチノール代謝の重要な酵素群であることから、以降ではこの2つに着目して検討を行った。慢性腎不全モデルマウスのDBP、CYP3A11およびCYP26A1の発現低下は、TGF-β1抗体投与により抑制されたため、原因因子の一つとしてTGF-βの関与が示唆された。損傷部位である腎臓における過剰なTGF-βの発現亢進が血液循環を介し肝臓に移行し、DBPの発現量が減少し、CYP3A11、及びCYP26A1が減少することで、レチノールが代謝不全により過剰に蓄積することを明らかにした。肝臓の代謝機能の低下により上昇したレチノールが腎臓において、繊維化および炎症に関与することを明らかにした。これらの過程で、慢性腎不全時の炎症進行過程において、細胞周期を制御する因子が重要であることを明らかにした。そこで、慢性腎不全の治療薬として、細胞周期を制御する因子を標的としたsiRNAおよび化合物の影響について検討したところ、種々の炎症症状が抑えられることを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Biol Chem.
巻: in press ページ: in press
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巻: 25;291(13) ページ: 7017-7028
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