研究課題
本研究では、2種類の蛍光ナノ粒子を用いて病理切片の免疫染色を行い、HERファミリータンパク質の定量を行ってきた。さらに、粒子間のFRETを利用することで、タンパク質間の距離の評価を行い、ダイマー形成の検出および定量を行った。培養細胞を用いた実験では、各細胞のタンパク発現量に応じて蛍光粒子輝点数が明確な比例関係にあることを証明し、本研究の評価方法の定量性を確かめた。また、タンパク質間距離が10nmいないの近傍に存在することで、粒子間のエネルギー移動が起きてアクセプター粒子の発光を検出し、ダイマーの検出、定量が可能であることを示した。乳がん患者の組織切片を用いて本研究の蛍光ナノ粒子を用いた免疫染色を行い、HER2およびHER3ヘテロ二量体の定量化を行った。染色したサンプルの中で、術後補助療法としてペルツズマブを使用した患者の中で非再発群と再発群でのヘテロ二量体の形成量の比較・検討を行ったところ、ヘテロ二量体形成量と再発に相関性が示唆された。調査結果は、使用した症例数が少ない参考記録ながら、本研究で開発したヘテロ二量体の定量化手法の有用性が示された結果と言える。現在、細胞実験および臨床サンプルでの結果を整理し、統計的な解析を行って論文執筆の準備を進めている。現時点での成果を論文にして技術の有用性を発表するとともに、以下の2つの点で本研究の有用性をより明確にする実験を進めている。さらに、症例数を増やして同様の解析を行い、再発群でのペルツズマブ等の分子標的治療薬を含む全身療法の無進行期間(TPP)との関連を詳細に解析し、本手法の実用性を証明する必要がある。また、臨床医学・病理学・物理計測の面から考察し、次なるステップである、他の分子標的薬への応用を視野に入れた創薬支援技術として確立する必要がある。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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