研究課題
第二世代生理活性脂質として注目を浴びているリゾリン脂質は,細胞表面の特異的受容体を介し,多彩かつ重要な(病態)生理学的反応に関与する.しかし,生体におけるその変動・制御機構に関しては不明の部分が多く,臨床検体を用いたその測定の診断医学的応用も進んでいない.本研究においては,リゾリン脂質の(病態)生理学的意義・生体における動態のさらなる解明,関連物質を含む測定の臨床検査医学的応用,そして,その統合を通じ,「リゾリン脂質の病態検査学の確立」を目指した.平成27年度は,我々のこれまでの生理活性脂質,リゾリン脂質に関する基礎・臨床的研究を集大成できるような成果を挙げることができた.・スフィンゴシン1-リン酸(S1P)のキャリア・生物活性規定因子としてのアポリポタンパク質(ApoM):LDL受容体/ApoEを介したApoM結合S1Pの代謝,ApoMを介したレスベラトロールの作用を明らかにすることができ,S1PのサロゲートマーカーとしてのApoMの重要性を提唱できた.・リゾホスファチジン酸(LPA)産生酵素としてのオートタキシン(ATX):世界で初めてATXアイソフォームの自動測定系を確立し,臨床検体の測定結果を公表した.現時点ではATXアイソフォーム測定の診断的意義は明らかにできていないが,今後の発展が期待できる.子癇の時の血清ATX低下が胎盤でのATX産生の低下によること,糖尿病腎症においてATXがバイオマーカーとなりうることを明らかにした.・リゾホスファチジルセリン(LPS)の動脈硬化への関与を探るため,LPSのマクロファージに対する効果を検討した.泡沫細胞形成に対する促進作用,炎症に対する抑制作用というLPSの二面性が明らかになった.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
東京大学医学部附属病院検査部http://lab-tky.umin.jp
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 7件)
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