研究課題
(1)ミトコンドリア機能解析用疾患モデルマウス(i)TFAM発現マウスとアルツハイマー病モデルマウス:両マウスを交配し、アルツハイマー病発症へのTFAM発現によるミトコンドリア保護の効果を解析中。(ii)新規TFAM発現マウスの作製:現在保有しているTFAM発現マウスは全身性の発現のため、臓器特異的なミトコンドリア保護作用の解析ができない。そこで、新たに臓器特異的発現可能なマウスを作製した。現在、神経と心臓に特異的に発現させるために交配中である。(iii)p32ノックアウトマウス:ミトコンドリア内翻訳反応に必要であるため、電子伝達系機能の維持に重要なミトコンドリア蛋白質p32の臓器特異的ノックアウトマウスを作製した。神経特異的ノックアウトではニューロンよりミエリン細胞がミトコンドリア機能低下に強く感受性で、そのために白質脳症を起こした(論文作成中)。心筋特異的ノックアウトでは、早期に拡張性心筋症を引き起こした(論文作成中)。現在、マクロファージ特異的ノックアウト、樹状細胞特異的ノックアウトマウスを用いて、免疫系におけるミトコンドリアの重要性を解析中である。(2)ミトコンドリア機能維持に関する基礎研究(i)ミトコンドリアDNA複製:ミトコンドリアDNAの複製後塩基修飾の解析中。(ii)ミトコンドリアRNA:ミトコンドリアRNAの代謝酵素を分解するプロテアーゼを同定した(論文作成中)。(iii)マイトファジー:酵母のマイトファジー必須の蛋白質であるATG32は Sin3-Rpd3系により発現が制御されていることを報告した(J.Cell Sci.2014)。(3)ミトコンドリア機能異常患者の解析血漿の800以上の代謝産物のメタボローム解析をする系を確立し、MELASを中心とするミトコンドリア病患者13名の血漿のメタボローム解析を実施した。更に例数を増やしていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
計画では、(1)モデル動物の解析、(2)ミトコンドリア機能維持機構の基礎的解析、(3)ミトコンドリア機能異常患者の解析を3つの柱にしている。その全て項目について解析に着手し、所期の結果を得ている。実績の概要に記載の通り、いくつかではすでに論文にまとめるレベルに達している。最終年ではさらに解析を発展させて、論文としてまとめる段階に達すると見込まれているものが複数ある(実績の概要参照)。
(1)モデルマウスの解析においては、臓器特異的TFAM発現マウス作製用のマウスのラインができたので、今後臓器特異的なTFAMによるミトコンドリ保護効果の解析を進める。また、p32の特異的ノックアウトによる臓器特異的なミトコンドリア機能低下マウスに関しては、神経と心臓ではほぼ解析が終了したので、現在解析中のマクロファージと樹状細胞特異的ノックアウトマウスの解析をさらに進めるとともに、新たに作製した肝臓、血管内皮細胞特異的ノックアウトマウスについても解析を開始する。(2)ミトコンドリア機能維持機構の基礎解析では、ミトコンドリアDNAの複製後塩基修飾とミトコンドリアRNAの転写後の成熟過程と分解過程の分子機構に重点を置いて解析する。(3)患者血液を用いた研究においては、狭義のミトコンドリア病患者の解析例を増やすとともに、一般的な疾患におけるミトコンドリアの関与の実証のために、神経疾患の患者などの血液のメタボローム解析を行う。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 12件、 謝辞記載あり 9件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)
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