研究分担者 |
花岡 知之 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 客員教授 (00228503)
荒木 敦子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 准教授 (00619885)
佐々木 成子 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30448831)
中島 そのみ 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (70325877)
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (70632389)
池野 多美子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 客員教授 (80569715)
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研究実績の概要 |
胎児期の環境要因が児の成長発達や疾病発症に及ぼす影響を解明するために立ち上げた2つの前向き出生コホートの詳細な追跡調調査を行い、胎児発育や学童期までの免疫・アレルギー疾患や神経行動発達等に及ぼす影響を検討している。1産院コホートでは、母体血のPCBダイオキシン類やBPAなどを測定した。大規模コホートでは妊娠後期の血漿中の有機フッ素化合物を測定した。 1産院コホートでは、ダイオキシン類の異性体である2,3,4,6,7,8-HxCDF-TEQ(05)のみで生後の42か月児のK-ABCの認知処理得点と同時処理得点に負の影響を示した。他の異性体では有意の影響ではなかったものの、42か月まで影響が継続する可能性を否定できないと考えられた。大規模コホートでは7歳までのアレルギー疾患の累積有病率は気管支喘息14.2%、アトピー性皮膚炎21.0%、アレルギー性鼻炎14.6%であった。両親のアレルギー歴や男児であることがリスク要因であったが、母体血中のダイオキシン類と児の免疫との関連を検討したところ、男児でダイオキシン類濃度の増加と共に臍帯血中IgEレベルが低下したものの、42か月アレルギー発症率とは明確な関連が認められず、日常生活レベルでの低濃度ダイオキシン曝露は幼児期の免疫に与える影響は低い可能性が示された。8歳のADHD発症率に関して、ADHD-RSを3,258名に実施した結果、発生率は9.6%であった。現在リスク要因について検討をしている。 環境遺伝交互作用の解明では、BPA・ダイオキシン・PFOAの胎児期曝露によりIGF2メチル化が低下し、日常生活レベルの曝露によりエピジェネティックな変化が引き起こされる可能性が示された。妊婦3,263名の検討で、解毒代謝酵素遺伝子(AHR、CYP1A1)およびDNA修復遺伝子(XRCC1)の特定の多型の組合せをもつ妊娠中喫煙者から生まれた児では出生体重が145g減少した。
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