研究課題/領域番号 |
25253065
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西澤 正豊 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80198457)
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研究分担者 |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
石原 智彦 新潟大学, 脳研究所, 助教 (70612232)
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
佐藤 俊哉 北里大学, 医学部, 教授 (90359703)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経病態 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)におけるTDP-43の病態を,TDP-43 mRNAの自己調節機構の障害から解明することを目的とする.TDP-43はALSの病態の主体であるが,その機序の詳細は不明である.我々は, TDP-43の機能障害説にたち,その機能について解析を進め,ALSの脊髄運動神経細胞では,TDP-43の異常に伴い,核内小体が減少し,その機能障害によりU snRNAが減少することを明らかにした.しかし,これらの異常の根本にあるTDP-43が機能障害をきたす機序についてはいまだ解明できていない.本研究では TDP-43 mRNAの制御機構に焦点をあてて,その障害機序を解明し,ALSに対して“TDP-43 mRNAの制御”という,全く新しい治療法を提案するものである.今年度は,TDP-43のpolyadenylation signalの制御機構について検討し,TDP-43が自身のpolyadenylation signalの一部を抑制し,その結果として,自己のスプライシングを誘導するという知見を得た.その制御機構には,複数のスプライシング多様体が関与しており,その各々について,詳細な検討を加え.polyadenylation signalとsplicingを活用した自己蛋白量制御機構を明らかとした.小核酸を用いて,このスプライシングを阻害することにより,実際にTDP-43蛋白が増加することを,細胞を用いた実験にて明らかとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TDP-43の生理機能について,順調に解明している.その機能障害が,カタストロフィックなTDP-43量の異常を引き起こす可能性を示唆する結果を得つつある.
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今後の研究の推進方策 |
真にSALSの病態に即した治療方法の開発には,病態機序を模倣したモデルの開発が不可欠である.これは単純な遺伝子導入や,遺伝子欠損では得られない.一方,mRNAの制御機構に即したモデルは福山病や脊髄性筋萎縮症SMAで開発されており,これらのモデルではRNA制御による治療が症状の改善に繋がっている. 本研究ではSALSの真の理解と治療を目標としTDP-43のmRNA機構の障害に即したモデルマウスを作成し,そのマウスでTDP-43のmRNAをin vivoで制御することを目標とし,研究を遂行する.
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