研究課題
1.摂取栄養素による臓器間ネットワーク前年度に引き続き、肝アミノ酸代謝変化に基づく全身の脂質代謝調節機構の研究を進め、肝アミノ酸流入→mTOR/S6K→迷走神経求心路→交感神経遠心路→脂肪組織リポ蛋白リパーゼ発現減少→血中中性脂肪加水分解能抑制→食後高中性脂肪血症につながる新規の臓器間ネットワーク経路の全貌を解明し、論文発表につなげた。本結果は、個体レベルでの臓器をまたいだ栄養素間代謝マップを作成するという新たな概念構築につながるものと思われる。2.摂取栄養素によるインスリン分泌調節これまで膵β細胞上に発現が報告されていない受容体を見出し、これが食事に含まれる栄養素を認識すること、それにより、膵β細胞の糖応答性インスリン分泌が亢進することを見出した。本年度はその機序として、PLC-IP3経路の関与を証明した。糖以外の栄養素によるインスリン分泌調節の新たなシステム解明につながるものと思われる。3.環境エンリッチメントによる代謝変化環境エンリッチメントの変化により、摂食行動の違いが認められたため、環境エンリッチメントの影響を受けると報告されている海馬の神経新生に対する介入実験を含め、引き続き検討中である。
1: 当初の計画以上に進展している
1.摂取栄養素による臓器間ネットワーク新規臓器間神経ネットワークの全貌を解明し、論文発表を行った(Nature Communications 2015)。この発表は国内外から高く評価され、NHKニュースに取り上げられるなど大きな反響を呼んだ。学術的にも、個体レベルでの臓器をまたいだ栄養素間代謝マップを作成するという新たな概念を提唱できた。2.摂取栄養素によるインスリン分泌調節これまで膵β細胞上に発現が報告されていない受容体を見出しており、それが、インスリン分泌調節に関与することが明らかとなり、予想以上の進展が得られている。3.環境エンリッチメントによる代謝変化環境エンリッチメントの変化により、摂食行動の違いが認められており、環境を調整することによる肥満・糖尿病の治療開発につながる可能性が想起され、大いに期待される。
1.摂取栄養素による臓器間ネットワーク本年度の成果を発展させ、アミノ酸による個体レベルの代謝調節について、新たな視点からの研究を開始している。2.摂取栄養素によるインスリン分泌調節新規シグナルによるインスリン分泌調節機構について、詳細な細胞内シグナル伝達を明らかとするとともに、その生理的意義や糖代謝調節における寄与度の検討を進める。3.環境エンリッチメントによる代謝変化環境エンリッチメントによる代謝変化の詳細なメカニズム解析を進め、その生理的意義の解明や治療方策への応用を検討する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件)
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