研究課題
アトピー性皮膚炎(AD)はかゆみを伴う慢性の炎症性皮膚疾患である。先進国では過去数十年間で患者数が激増している。ステロイド等の治療薬が多くの患者で有効であるが、副作用によって治療が困難な症例も多い。ADの発症機序として、皮膚のバリア機能の低下や免疫機能の異常が指摘されている。本研究は、自然発症のADモデルとアレルゲンによる誘発ADモデルを用いて、発症機序を細胞レベルと分子レベルで解明することを目的としている。自然発症モデルとして、Phospholipase C (PLC)-β3欠損マウスに他の遺伝子欠損を導入することで、その遺伝子の必要性を検討した。その結果、高親和性IgE受容体(FcεRI)は不要であることが判明した。多くの病原微生物に対する感染の防御に関わるMyD88の必要性は、Plcb3-/-;Myd88-/-の複合KOマウスが生まれにくく、結論を出すに至っていない。誘発モデルでは、各種の遺伝子及び細胞欠損マウスにダニ抗原とstaphylococcal enterotoxin Bを塗布して、AD様の皮膚炎症が発症するか否か検討した。すでに明らかにしているように、T細胞やマスト細胞は発症に必要だが、マスト細胞に似た機能を持つ好塩基球は不要であった。また、いわゆるconditional KOマウスを用いて、CD4 T細胞においてPLC-β3が誘発ADモデルに必要ないことを見いだした。また、我々はStat5 の活性PLC-β3によって負の制御を受けることを明らかにしているが、Stat5阻害剤の入手が困難で、誘発AD モデルを予防できるか否か検討できなかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Front. Immunol.
巻: 6 ページ: 434
10.3389/fimmu.2015.00434
J. Cell Biol.
巻: 210 ページ: 851-864
10.1083/jcb.201412074
Eur. J. Pharmacol.
巻: 778 ページ: 11-23
10.1016/j.ejphar.2015.02.057