研究課題
基盤研究(A)
ジーンターゲティング法を用いてGLO1のノックアウトマウスを作製した。現在バッククロスを実施中でF5が誕生している。F10に達していないが、予備的検討を行った。24週齢の野生型(n=2)とヘテロ接合体(n=3)の脳内AGEs(pentosidine)濃度を部位別にHPLCを用いて計測した。大脳皮質、海馬、間脳、中脳、嗅球、脳幹、小脳を用いて測定した結果、野生型よりヘテロ接合体の海馬、間脳、嗅球で有意に高いAGEsが認められた。ICRマウスに7日間、生食、またはAGEsを3, 10mg/kg皮下注射し、7日目に脳で部位別にAGEsを計測した。ノックアウトマウスと同様に、海馬、間脳、嗅球においてAGEs投与群で生食群より有意に高いAGEsの蓄積が認められた。8週齢のマウスで生食(n=5)とAGEs10mg/kg/day(n=6)を7日間皮下注し、7日目にBrdU75mg/kgを2時間おきに3回腹腔内投与した後、海馬歯状回におけるBrdU陽性細胞数を計測した。AGEs投与群は生食群よりBrdU陽性細胞数が有意に少なかった。 24週齢の雄のノックアウトマウスを用いて、巣の形成実験を行った。Deacon(2006)の巣形成スコアは野生型、ヘテロ、ノックアウトの順で低くなり、巣形成不全の割合は野生型、ヘテロ、ノックアウトの順で高くなった。活性型ビタミンB6 (pyridoxamine)を用いて都立松沢病院に入院中のカルボニルストレスを伴う統合失調症10例を対象に医師主導治験を行った(メディカルトリブビューンプロ2011年11月1日)。昨年度10月24日に第1例目を開始し、本年度10月9日に10例目が6カ月の投与試験を終了した。10例中6例でAGEs(pentosidine)が低下を示し、5例で重症度の低下を認めた(効果量24.0±17 [9.8-52.6]%)。また、4例で抗精神病薬の作用増強現象が見られ減薬に成功した。3例で錐体外路症状の改善が見られた。未承認薬を用いた医師主導治験は国内で初めてである(メディカルトリブーンプロ2011年11月14日)。
2: おおむね順調に進展している
遺伝子改変動物のバッククロスが完了し、動物モデルによる実験も着実に進み、臨床試験も実施できているから。
さらにプロトタイプとなる希少症例を探索する。GLO1システムと統合失調症の病態との関連を分子レベルでさらに検討する。
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