研究課題
本研究の目的は、多発家系、治療抵抗性症例、稀な合併症例を用いてメタボローム解析を行い、プロトタイプとなる症例を同定し、その症例の代謝異常を一般症例まで敷衍して比較的に小さい均一な一群を抽出して病態を解明することである。統合失調症のメタボローム解析はすでに報告があるが、多発家系、治療抵抗性症例、稀な神経疾患の合併例ばかりを用いて解析し、あえて外れ値に注目してプロトタイプを探る点が本研究の特徴である。プロトタイプ症例をもとにモデル動物とiPS細胞を作製し、新しく同定された生化学病態が発症機序に果たす役割を明らかにする。さらに動物とiPS細胞を用いて生化学的異常を改善する方法も検討し、治療法の開発につながる知見を同定する。プロトタイプ症例をもとに、いくつかの小さくて均一な集団ごとに個別病態を明らかにすることで、統合失調症研究を難航させていた異種性の問題を解決する点が特色である。本年度は縦断的研究を実施した。カルボニルストレス群とそうでない群の予後比較で、前者において入院症例では有意に退院できた症例が少なく、外来症例では有意に再発した症例が多かった。また、ビタミン欠乏食で飼育したカルボニルストレスモデルマウスでは自発運動量の減少や強制水泳の無働時間短縮が見られた。
2: おおむね順調に進展している
プロトタイプから敷衍したカルボニルストレス症例の臨床特性や動物モデルなどで有意な所見が得られている。
さらに症例を発展させる。プロトタイプ症例で同定された病態を反映させたモデルマウスでの検討、ヒトでの病態をマウスを用いて解析する。モデル動物の病態が改善される分子を検討し、ヒトの病態を改善する治療薬の候補同定をめざす。さらに認知機能関連の検討も発展させる。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
J Microsc.
巻: 261 ページ: 57-66
10.1111/jmi.12315
Curr Mol Med
巻: 15 ページ: 265-274
10.2174/1566524015666150330145722
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 467 ページ: 361-366
10.1016/j.bbrc.2015.09.152.
Biol Psychiatry
巻: 78 ページ: 116-125
10.1016/j.biopsych.2014.07.025
Molecular Brain.
巻: 8 ページ: 50
10.1186/s13041-015-0142-x
Microsc. Microanal
巻: 21 ページ: 919-920
10.1017/S1431927615005395
http://www.igakuken.or.jp/schizo-dep/