研究課題
本研究は、精神疾患患者や健常者を対象として脳脊髄液など生体試料を収集し、プロテオミクスやゲノミクス等のオミックス技術を用いて脳脊髄液を中心とした試料の分子動態を網羅的に明らかにするとともに、統合失調症と気分障害の診断や経過判定の指標となるバイオマーカーを見出すことを目的とする。これまでに、アプタマー技術を用いたプロテオミクス解析によって、たんぱく質の網羅的解析を行っている(1129分子)。既に統合失調症や気分障害の診断マーカー、症状判定指標となる候補分子については26年度中に特許出願したが(特願2014-102090)、その中でトップヒットであった分子としてフィブリノーゲンがあり、脳脊髄液中の上昇と脳MRIでの軸索障害を示す群は、「中枢フィブリノーゲン亢進型うつ病」というサブタイプとして切り分けられる可能性を見出し論文報告した(Sci Rep, 2015)。その後、症例数を増やしてエビデンスの構築を行った。また、中枢神経系に豊富に発現している細胞接着因子の1つneural cell adhesion molecule (NCAM)について検討し、双極性障害患者の脳脊髄液中で低下していることを明らかにした(論文準備中)。さらに、今年度は血液のトランスクリプト―ム解析を終了し、うつ病患者の白血球では、VAMP2, FKBP4, CRHR2などの分子の発現が変化しており、バイオマーカーとなる可能性について報告した(Sci Rep, 2016)。遺伝子多型に関するゲノムワイド解析データと脳脊髄液中のプロテオミクスデータとの関連を検討し(pQTL解析)、多重比較を考慮しても446ペアの一塩基多型(SNP)と脳脊髄液中タンパク濃度との有意な相関を見出した(論文準備中)。これは、脳内でのタンパク発現がどのような遺伝子多型によって規定されているかを明らかにする上で貴重なデータベースとなる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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