研究課題/領域番号 |
25253077
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 誠一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00290768)
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研究分担者 |
市川 和洋 九州大学, 先端融合医療創生センター, 教授 (10271115)
畑澤 順 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70198745)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PET/OMRI / 一体型装置 / 分子イメージング |
研究概要 |
今年度はPET/OMRI一体型撮像装置の設計、製作を行った。一体型装置は永久磁石式OMRI装置と光ファイバー型PET装置を組み合わせて構成した。OMRI部は0.015Tの永久磁石、送信(RF)コイル及びESR信号を検出する受信コイルで構成した。PET装置はこれまでに開発した光ファイバー式PET装置を用いた。 MRI部の構成はMRIと類似であるが、電子スピン共鳴(ESR)の共鳴周波数は核磁気共鳴(NMR)のそれに比べ1000倍程度高いため、共鳴周波数は0.015Tの磁石に対して470MHzとなる。磁場を高めるとESR信号が大きくなり画像のS/Nが向上するが、水による電磁波の吸収の割合が増加し信号の不均一性と発熱の問題が起こる可能性があるため、今回はLバンド帯を用いた。ESR励起用の磁場は永久磁石を用い、その上部と下部を接続するヨーク部に、光ファイバー型PET装置を挿入するための直径16㎝の空間を設けた。永久磁石間の距離は17㎝とし、磁石の直径は約40㎝とした。磁石の重量は約100㎏をとなった。重量が軽いので設置は容易であった。 PET装置部は、光ファイバーを用いPET/MRI一体型装置用に開発したものを転用した。この方式では、シンチレータとPSPMTの間に光ファイバーイメージガイドを挿入し、静磁場あるいは変動磁場に不感であるシンチレータ並びに光ファイバーのみをESRの磁場中に配置可能である。PETで検出する消滅放射線によるシンチレーション光は光ファイバーイメージガイドを用いてPSPMTに伝送され、重心位置演算することにより高分解能を達成した。検出器は、0.9㎜x1.2mmx6㎜と0.9㎜x1.2mmx7㎜のセリウム濃度の異なるルテシウム・ガリウム酸シリコン(LGSO:Ce)を2層積層し深さ方向の検出可能(DOI)な構成となった。この構成により、高感度でかつ1.2㎜以下の空間分解能を達成かのうとなった。現在開発したOMRI部の性能評価中である。現状,目標とするOMRIの性能は、空間分解能2㎜である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状,OMRI装置の開発は終了し,性能評価に入っている。また先に開発済みの光ファイバー型PET装置は正常動作をすでに確認済みである。今後これらを一体型にする予定であるが,これは今年度以降の予定であるので,おおむね順調に進展していると結論される。
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今後の研究の推進方策 |
今後,開発したOMRIと光ファイバー型PET装置を一体化して同時撮像を可能にする。構成はこれまでに開発したPET/MRI一体型装置と類似である。PET/OMRI一体型撮像装置においても、OMRI用磁石のヨーク部に設けた空間を通して、光ファイバー型PET装置を後方より挿入し、撮像視野でのOMRIとPETの同時撮像を可能にする。RFコイルは光ファイバー型PET装置のシンチレータリングの内側に配置しOMRI信号の受信コイルは、その内側に配置する。撮像トンネルの直径は3㎝とする。 それぞれを組み合わせて構成したPET/OMRI一体型撮像装置の性能評価を行う。この種の一体型装置においては、各装置間の相互影響が問題となる場合がある。この点を明らかにするためにOMRIと組み合わせたPET装置の性能、画質及び定量性を評価する。またPET装置を組み合わせたOMRIの画質等の評価を行う。しかし、OMRI撮像視野内にはPET装置の金属、磁性体、電気部品などが配置されず、またPET用の光センサーは1ガウス以下の低磁場の位置に配置され、またRFコイルからの距離も80㎝取ることが可能なため、基本的にはPETとOMRI間の相互影響は予想されず、相互影響が無いことを確認する。 現状,研究を遂行する上で大きな問題点は発生していない。
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