研究課題
基盤研究(A)
本年度の予定通り,大腸鋸歯状病変の内視鏡生検サンプルより,過形成ポリープおよび鋸歯状腺腫オのルガノイド株を樹立した.また,同様に手術検体サンプルよりMSI大腸癌のオルガノイド株を樹立し,大腸癌発癌において提唱されているserrated pathwayについて,各ステップのオルガノイド株を樹立することに成功した.樹立した全てのオルガノイド株について,BRAF遺伝子解析,マイクロサテライト解析,CpGアイランドのメチル化解析を行った.BRAF遺伝子変異解析はSangerシーケンスによりV600E変異の有無を確認した.マイクロサテライト解析については,5つのマイクロサテライト領域を蛍光標識プライマーを使用したPCRにて増幅し,それぞれのフラグメント解析を行った.CpGアイランドメチル化解析については,スループットを重視しリアルタイムPCRによるMethylight法を使用し,WeisenbergerらのCIMPパネルを使用してCIMPの有無を判定した.その結果,樹立した過形成ポリープオルガノイド,鋸歯状腺腫オルガノイドはいずれもBRAF遺伝子変異,CpGアイランドのメチル化(CIMP)を認めたが,MSIは認めなかった.MSI大腸癌については66%にBRAF遺伝子変異およびCIMP highを認めた.さらに,それぞれのオルガノイド株よりgenomic DNAを抽出し,次世代シーケンサーによるターゲットリシーケンスないしエキソームシーケンスを行った.
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究については,大腸鋸歯状腺腫よりオルガノイド株を樹立し,BRAF遺伝子解析,CIMP解析,MSI解析を定型的に行い,最終的に次世代シーケンスを行うところまで成功しており,当初の予定通り進行している.しかしながら,過形成ポリープ,鋸歯状腺腫については疾患の性質上,2例のサンプル数にとどまっている.翌年度以降の研究には支障ないため,並行しつつさらにサンプル数を蓄積したい.
In vitroにおけるserrated pathwayの再現を目指す.BRAF遺伝子変異はserrated pathwayにおけるinitiation stepであると考えられており,最新の遺伝子編集技術であるCRISPR/Cas9システムを使用し,正常大腸上皮オルガノイドにBRAF遺伝子変異のノックインを行う.当研究室では既に複数の癌抑制遺伝子についてCRISPR/Cas9システムを使用した遺伝子ノックアウトに成功しており,同様の方法論にてノックインも可能であると考えている.得られたBRAF変異オルガノイドを使用し,CpGアイランドのメチル化を惹起する条件を検討する.具体的には低酸素,酸性,低グルコース等を想定している.これら条件にてメチル化が起こらない時の対応として,メチル化シトシンの脱メチル化を阻害するIDH遺伝子変異,TET遺伝子変異を導入することでメチル化シトシンの蓄積をもたらし,擬似的にCIMPを誘導することを考慮している.最終的にはミスマッチ修復遺伝子のサイレンシングによりMSIを来すに至ることを確認し,今後のMSI大腸癌予防および治療に役立てたい.
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